国立新美術館(港区六本木7)で2月19日、国立民族学博物館(大阪府)のコレクションからイメージの根源を探る展覧会「イメージの力-国立民族学博物館コレクションにさぐる」が始まった。
1974(昭和49)年に創設された同館は、世界各地の創作物や生活用具を収集し、約34万点を所蔵する世界最大級の民族博物館。上記2館の共同企画として行われる同展は、今年創設40週年を迎える同館のコレクションから約600点を選び、それを美術館の空間に展示することで同館収蔵品のアートとしての側面を見直そうとするもの。同作品のコレクションを東京で紹介する展覧会としては過去最大級となる。
展覧会は4章とプロローグ、エピローグで構成。プロローグでは壁一面に世界の仮面を展示。同館主任研究員の長屋光枝さんは「美術館が『見る場所』であるという固定観念を崩すことから始めたかった。100以上の仮面からの視線を浴びることで一方的な見る存在からの転換を図り、仮面を通して異界を想像することに参画してもらえるようにした」と話す。
「みえないもののイメージ」と題された第1章には神や時間を視覚化した神像や物語図を展示。「イメージの力学」と題された第2章では、邪悪なものをはね返すなどとして珍重された「光るもの」や、高みにある世界へ通じるものとして世界各地で作られた「高いもの」を展示。6メートルもの高さになるインドネシアの葬送用の柱「ビス」は民族学博物館では立てて展示することができなかった作品で、同館の天井の高さを生かした目玉展示の一つとなっている。
第3章の「イメージとたわむれる」では、人々が生活の中で楽しみながら生み出したイメージを展示。第4章の「イメージの翻訳」では、人と共にイメージが移動することで別の文化によって異なる解釈をされるようになったものなどを展示する。エピローグでは、実用品を現代美術のインスタレーションの手法で展示したらどうなるかという試みを行う。
関連イベントとして2月22日の14時から、長屋研究員と神奈川県近代美術館の水沢勉館長、京都造形芸術大学の水野千依教授によるシンポジウム「新たなイメージ論に向けて」を開く。3月8・9日には折り紙ワークショップや民族音楽のコンサート、スタンプラリーなどを行うイベント「みる・きく・あそぶ イメージの力ウィークエンド」も。
開館時間は10時~18時(金曜は20時まで)。火曜休館。観覧料は一般=1,000円など(六本木アートナイトが開催される4月19日と国際博物館の日の5月18日は観覧無料)。