乃木坂駅そばの「TOTOギャラリー・間」（港区南青山1、TEL 03-3402-1010）で5月13日、建築家・五十嵐淳さん初の個展となる「五十嵐淳展　状態の構築」が始まった。

五十嵐淳－豊田市逢妻交流館（プロジェクト、2006年）

　五十嵐さんは北海道生まれで、現在も道内の佐呂間を拠点に活動を行っている。2000年に設計した自邸「矩形の森」で注目を集め、以後、北海道の風土や自然に沿いながらも普遍性を求めた建築を数多く発表している。特に半地下の構造を利用したもの、空間を仕切る壁を設けず全体をワンルームとする構造を特徴とし、開放的でありながら快適な空間を設計する。

　会場には、一人利用の空間として設計された「Tea House」から広大な農園である「ファーム富田」まで大小合わせて18の模型が並ぶ。4月には、詳細な解説と現場の写真などを掲載する作品集『五十嵐淳／状態の構築』（TOTO出版）も発売。「併せて見ることで、より実際の建築物のイメージが沸きやすい構成となっている」という。中庭には、エアチューブの円弧により構成された「大阪現代演劇祭仮設劇場」も再現した。

　同ギャラリー広報の金子麻英さんは「デビュー作ではあえて不自由さを取り込み、その中から生まれる心地よさをテーマにしている。凍結深度（凍結により基礎が動いてしまうのを防ぐため地方公共団体によって定められた土台の深さの規定）のような北国特有の規制も逆に利用して新たな空間を生み出している。そういうところが面白い」と話す。

　開催時間は11時～18時（金曜は19時まで）。日曜・月曜・祝日休館。入場無料。7月9日まで。6月9日には講演会（要事前申込）、6月10・11日にはギャラリートークも予定する。