西麻布のギャラリー「le bain(ル・ベイン)」(港区西麻布3、TEL 03-3479-3843)で現在、美術作家の永田哲也さんの個展「永田哲也のお正月」が開催されている。
「時間」「空間」などをテーマにさまざまなものの「型」を採取して表現する永田さん。「人間は物事の片面しか見ていない」と卒業制作でいろいろなものの型を採集したのが始まりで、営業で外回りをするサラリーマンの底がすり減った革靴やマンホールなど、これまであらゆるものの型を取ってきた。そうしているうちに出会ったのがタイの木型(菓子型)だという。
その後、個展などで各地を訪れたときに木型を作る職人や菓子店などと話をするうちに、「表だけでなく、裏を見ている人がいた」と気付いたという永田さんは木型を集め始め、今では2,000個ほどの木型を所有している。
「和菓子の成分の違いなどで出来上がった時の色も変わってくるし、松竹梅、鶴亀、鯛など、色々な木型があるが、同じモチーフでも作る人間や時代が変わることで全く別の作品になる。和紙を使うのは、繊細で皮膚に近い質感が生まれるから」と永田さん。
会場では、大きなタイの木型で作ったものをはじめ、さまざまな魚の木型をつなぎ合わせた作品、タイの群れが泳ぐような表現をしたインスタレーションなどのほか、新春にふさわしい置き飾りなども展示。
永田さんは、「アートをどんどん日常に取り入れて少しでも意識を高めてもらい、身近なものになってほしい」と話す。
開館時間は11時~19時(最終日は16時まで)。月曜休館。入場無料。1月30日まで。