東京ミッドタウン・デザインハブ(港区赤坂9)で現在、コンピューターとグラフィックデザインの関係を歴史的に捉える企画展「デジタルメディアと日本のグラフィックデザイン その過去と未来」が開催されている。
国際的なデザインの発信拠点として運営されている同施設は、日本デザイン振興会、日本グラフィックデザイナー協会、武蔵野美術大学デザインラウンジが共同で運営し、さまざまな企画展を開いてきた。今回が55回目の企画展になる。
同展は、日本グラフィックデザイナー協会が主体となり、グラフィックデザインの中でも計算を主な技法としたグラフィックスや、デジタル環境を活動の場としたデジタルメディア作品から、コンピューターとグラフィックデザインの関係を捉えようというもの。時代を1970年代以前の「プレデジタルメディアの時代」、1980年代の「CGの時代」、1990年代の「マルチメディアの時代」、2000年代の「ウェブ広告の時代」に分け、それぞれの時代の先駆的な作品を展示する。
「プレデジタルメディアの時代」では、川野洋さんの「Simulated Color Mozaic」(1969年)など、現在のデジタルメディア作品を思わせる幾何学的な図形を用いた作品を多く展示、デジタル時代の源流を感じることができる。「マルチメディアの時代」では、パーソナルコンピューターが普及し始めたころの、フロッピーディスクやCD-ROMなどのメディアを利用したデジタルメディア作品を当時のコンピューターで体験できる展示を用意。岡崎京子さんの「P-House」(1994年)は、岡崎さんの展覧会の様子を収めたフロッピーディスクで、フロッピー・アート・マガジン「JAPAN ART TODAY」の第14号として発行されたものを、当時のマッキントッシュで閲覧できるようにした。
「ウェブ広告の時代」では、マルチメディアの手法が広告などさまざまなメディアで利用されていく様子を、これも当時のコンピューターで展示するもの。ロックバンド「SOUR」のミュージックビデオ「日々の音色」(2009年)は、世界中のファンがwebcamで撮影した映像を組み合わせて作ったもので、当時話題を集めた作品。ほかに、田中良治さん、暦本純一さんなど5人の出品作家のインタビュー映像も上映する。
開館時間は11時~19時。入場無料。今月14日まで。