六本木ヒルズに近い西麻布3丁目にある雑居ビルの一室が岡山県西粟倉産のヒノキの間伐材を使ったワンルームの賃貸物件にリノベーションされた。リノベーションしたのはリノベーションプロジェクト[Reno*](リノ)を運営するS-FIT(渋谷区)。
同リノベーションプロジェクトは、住宅・不動産ポータルサイト「HOME’S」を運営するネクスト(港区港南2)が、間伐材の商品企画・販売を行う西粟倉・森の学校(岡山県)と手掛けてきたウェブコンテンツ「月刊ニシアワー」のスピンオフ企画として生まれたもの。
ネクストの鈴木さんは「コンテンツを展開する中で、都内で無垢材の良さを体験できる場を作りたいという思いが強くなり、西粟倉の製品を使ってリノベーションをしてくれるパートナーを探していたところ、Reno*さんが手を上げてくれた」と話す。
Reno*の山岸さんは「ビルのオーナーからリノベーションしたいという依頼を受け、六本木のこの場所に間伐材を使った部屋から眺望の抜けた空間ができたら面白いのではと思い、一緒にプロジェクトを行うことにした」と話す。
建物は築41年で、広さは約33平方メートル。もともとは住居用だったものが、時代の流れに合わせて事務所に改装された。今回はそれを再び住居にもスモールオフィスにも対応出来る形にリノベーションされている。床材や作り付けの棚やカウンターには、全てを西粟倉産のヒノキの間伐材を無垢のままま使用。「素足でも温かさが感じられる」と鈴木さん。
山岸さんは「六本木の雑居ビルには空室が多く成約率も低い傾向にあるが、今回はオープンハウス前に6件の申し込みがあり、入居者もほぼ決まった。これまでも無垢材を使ったリノベーション物件には希望者が多かったが、今回は3社それぞれがブログなどで工事の状況などを紹介したことで入り口が増え、これまで接点がなかったような方にも知ってもらえたのが良かった」とも。
西粟倉・森の学校の牧さんも「賃貸住宅のリノベーションを手掛けたのは今回が初めて。新しい事例を東京で作って、それを広めて行きたい。木の心地良さを求める人は多いが、これまではその良さを実感できるところが少なかった。賃貸の市場も厳しくなっているが、このような事例によって良さをわかってもらい付加価値となってくれれば」と期待を寄せる。
月刊ニシアワーで、これまでの工事の様子などが閲覧できる。