森ビル(港区六本木6)は東日本大震災から1年を迎えるにあたり、帰宅困難者対策や災害時の情報提供など、災害時に六本木ヒルズを「逃げ込める街」として活用するための対策と取り組みを発表した。3月9日には、六本木ヒルズ自治会との共催での震災訓練も行う。
3月1日には、帰宅困難者の受け入れで港区と協定を締結したことを発表。帰宅困難者に対する一次避難場所、備蓄食糧、飲料水の提供を行うこと、駅周辺などから避難誘導を行う誘導用具や人員の提供を行うことを決めた。同時にエリア放送を活用した独自の災害情報提供システムの試験運用を3月9日の震災訓練の際に行うことも発表。10万食の非常食や飲料水、医薬品、生活用品などを備える備蓄倉庫を報道陣に公開し、今回の震災で帰宅困難者に飲料水、食糧などを配布した経験から備蓄品の一部を見直すなどの対策を行ったことを説明した。
3月5日には、「逃げ込める街」を支える要となる耐震・エネルギー供給設備についての説明会を開催。今回の震災では長周期地震動によって約10分間の揺れを計測したが、制震装置によって建物が揺れる速さを最大で29%低減し、揺れの大きさ、大きく揺れる時間の低減にも効果があったと説明した。エレベーターの地震対策では、2004年の中越地震を受けて改良が行われたことで閉じ込めなし、早期の復旧が実現したと説明した。
夏の電力不足で注目を集めた自家発電施設についても説明があり、通常非公開の発電施設(六本木ヒルズ地下)を報道陣に公開。同施設は特定電気事業者の六本木エネルギーサービス(六本木6)が運営し、自衛隊の哨戒機にも使われている小型のガスタービン発電機6基備え、3万6000キロワットの発電能力を持つ。多田雄三同社社長は「分散電源モデルとして自治体などから注目を集めていて、震災以降2000人以上が見学に来た」と話す。
3月9日の震災訓練は居住者やオフィスワーカーも参加して行う予定で、エリア放送のデモンストレーションについては、エリア内でワンセグ機能をもつ携帯電話機やスマートフォンから利用できるほか、館内に臨時設置するフルセグ対応モニターなどからも閲覧できる。