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「産業がブレイクスルーするきっかけに」JTQ Inc.谷川じゅんじさんに聞く「Media Ambition Tokyoと六本木」(後編)

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Rizomatiks Lexus青山ではRizomatiksがLEXUSをモチーフにインスタレーションを展開した

- 本当に面白いなと思ったのは、点から面になって、それがどんどん増えていくと、海外の人がそれを目指して東京にやってくるみたいな事になるじゃないですか。ミラノサローネのように世界中から人がやってくると、目的以外の何かを探しに訪れますよね。

今年は日仏会館が参加してくれたことでフランス人のアーティストが何組かやって来て関わりを持ち始めています。スーパーデラックスでイベントがあったり、IMA CONCEPT STOREで世界的に有名なANTIVJのオリヴィエ・ラツィさんが来て、展示もしながらマッピングもやってしまうという、いろんなところでいろんなことやってます。

お台場でもMATの為にteamLabが手がけた作品があって、実際に4Kの作品を発表しました。その4Kモニターの前で一番ガチガチ見てるのは子供たちなんですよ。その子供たちが面白かったのは、みんな指で画面を触ってこすったりするんですよ。凄いなぁと思った。こういう風にして見る習慣がついてるから。

そうやってアートだけじゃなく、例えばバイオテクノロジーだとかロボテクノロジーだとか最先端のテクノロジーも含めたショーケースに次はなればいいなと考えています。アートとか産業とか、もう区分け自体が古くて、混ざってくるのが多分これからで、テクノロジーとアーティスティックな表現が重なり合って新しい領域の産業が生まれてくるのが東京だ、となるとすごく良いと思っています。

チームラボカメラチームラボカメラ

- 六本木では2月にMATがあり、4月に今度はアートナイトがある。秋にはデザインタッチがあり、我々、六本木・赤坂経済新聞も主催するサローネ・イン・ロッポンギも。六本木の街にそういう物がどんどん増えて、ミラノやベルギー、ベルリンのように、ただ街を観光するのではなく、そのタイミングを目指して行き、参加する。そういったことが今後出来てくるような気が、すごくしています。

今、インターネットにつながる端末の数が人の数を超えたんですね。という事はネットワークから情報を取って自分で考えて判断していくマシンがどんどん増えてくという事じゃないですか。その価値を今度は人が享受する。だからネットワークの技術がどんどんこれから進んでいく中で、突き詰めればマシンが無人で判断していくようになっていく。そうなった時に日本の色んな産業が持つ品質、安心とか安全が力を発揮する。自力で動く無人の車とか、勝手に火をつけて何かを作る調理器具などを考えたときに、安心や安全を保証するプロダクツの精度とクオリティコントロールでは、日本がとびぬけて高いものを持っていると思う。いま若干行き詰った感があって、競合する国やメーカーから、少し後退している印象を持っているけど、日本が持ってる技術の凄さはまだまだある。

そこに、アーティストの広い視野と視点が加われば、産業がブレイクスルーするきっかけになるかも知れない。そのために、こういう期間限定のイベントで何か一緒にやって、発見してほしいんです。大きな投資をそこにかけて新しい何かを作りましょうというのは一朝一夕にはいかない。だからこそ、一番参加してほしいのは実は日本のメーカーや日本の20世紀を支えてきた産業界の人たち。そういう人たちに、こういう可能性を知ってもらいたいんです。そして、そのマッチングをするための社交場が僕になればいいし、そのために一緒に時間を過ごす場所として六本木はとても良いと思っています。色んな施設もあるしファシリティもあるし、大箱も沢山あるし、社交するために必要なお茶を飲んだりご飯を食べたり楽しんだりできる場所でもある。

ミッドタウンミッドタウンではアイスリンクがメディアアートに

- 最後に、3年目を終えて、最後に来年は面に広がったところをさらに広げるのか、さらにもっと遠くに飛ぶのか、深くなるのか?

空間的にエリアを広げていくというのに関しては正直あんまり興味を持っていなくて、そこでの規模を目指すのではなく、密度を上げていく方がいいと思うんです。だからエリアは実はそんなに広げなくていい。なぜなら移動が大変だから。コアでやる日数も、おそらく5日間とか長くても1週間程度が最適だと思っているので、その期間の中で色んな所に移動して沢山見れると考えると、やっぱり東京の中心部にエキシビジョンが集まっていた方がいいと思う。だから、六本木を中心にやっていくっていうスタイルは変わらないと思います。ただ、点は増えていった方がいいと思う。ひとつひとつの点でも、密度の濃い、質の高い事、あるいは今まで誰も見た事のないような組み合わせが少し来年は増えているんじゃないかなと思います。

あとは、やっぱり皆で作っていけるといいかなって。一人でやると大変だけど、仲間がいるとやれる。今年も参加してくれているメンバーが非常にパワーある人達ばっかりで、彼らが動くと周りもそれを助けてくれるし、じゃあ自分たちでやってみようっていう人たちもきっと出てきて、そうやって広がっていくんだと思います。

- 来年は是非、六本木経済新聞もMATに参加させてくださいね。

もちろん!

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