TOTOギャラリー・間(港区南青山1)で4月18日、建物を中心に2000枚以上の風景写真を展示する「小さな風景からの学び」展が始まった。
建築家で東京藝術大学准教授の乾久美子さんと、その研究室の学生、助手、乾さんの建築事務所のスタッフ計10人で1年間かけて撮影した写真を展示する同展。乾さんの「人は本当に何を欲しているのか、魅力ある場所を設計に取り入れるにはどうすればいいのか」という疑問からスタートし、10人が日本全国で建物にこだわらず「気になる場所」約1万8000カ所の写真を撮影。それをさまざまな切り口で選別、分類した。
展示される2282枚の写真は178のユニットに分けられ、そのユニットは22のグループにまとめられている。例えば、グループa「並び方」のユニット2は「取り囲む」と題され何かを円形に取り囲んだ形状の風景の写真が、グループl「にぎやかし」のユニット3「タイポグラフィ」には商店の看板の写真などが並ぶ。乾さんは「分かりやすいものから難しいものへという並びを大切にした。だんだん目が慣れていくことで後半の展示も理解しやすいはず」と話す。
同展は同名の書籍の発売に合わせて開催。掲載する写真もほとんど同じだが、書籍では写真のサイズにバリエーションを持たせてレイアウトしているのに対し、展覧会では全ての写真を同じサイズで展示している。展覧会ではハンドアウトに「グループ」の解説があるのに対し、書籍には「ユニット」の解説と各写真の撮影地が記載されており、「会場に閲覧用の書籍がたくさん用意されているので、本を片手に展示を見てほしい」と乾さん。
リサーチで分かったことについては、「結果、集まったのは現代的でもなく伝統的でもない、どこにでもあるような風景だったが、驚いたのはいいと思うものがあまりに多岐にわたっているということだった。それでも分類を続けていくうちに共通するのが『サービス』だということに気づいた。人がつい立ち寄ってしまう場所は人の手によるものであれ自然にできたものであれ、サービスにあふれている。そんなところにも注目して、写真をじっくり見てほしい」と呼び掛ける。
開館時間は11時~18時。日曜・月曜・祝日休館。入場無料。6月21日まで。