東京ミッドタウン(港区赤坂9)で10月17日、デザイン&アートコンペ「Tokyo Midtown Award 2014」の結果発表と表彰式が行われ、受賞作品の展示も始まった。
東京ミッドタウンアワードは、新しい才能を発掘し世界に発信する育成型のコンペティションとして2008年に創設され、毎年テーマを設け作品を募集。デザイン部門の受賞作は商品化されヒット商品になるものも多く、昨年商品化された「歌舞伎フェイスパック」は本年度のグッドデザイン賞も受賞した。
今年のデザイン部門のテーマは「和(あ)える」で、1072点の応募があり、グランプリにはデザインユニットhitoeの「和網」が選ばれた。同作品は、魚や野菜などを焼く「焼き網」の目に、麻の葉などの和柄を施すというコンセプトの作品で、味覚だけでなく視覚でも感じる「味わい」を演出する。同ユニットの榎本大輔さんは「これは本当に和えているのか、混ぜてるんじゃないか、加えてるんじゃないかと問い掛けながら作った。これからも人に届く作品を作り続けていきたい」と話した。
同部門準グランプリには85の「鎧(よろい)カッパ」、優秀賞には山本悠平さんの「kokki」、審査員特別賞には遠藤可奈子さんの「origami tale」、前田紗希さんの「婚艦-KONKAN-」などが選ばれた。審査員の一人であるアートディレクターの水野学さんは「年々作品の精度が上がってきている。デザインやものづくりが求められる時代になっている中で、いつまでも続く賞になってほしい」と総評した。
アート部門は「テーマなし」として開催され、357点の応募があり、グランプリには原田武さんの「群雄割拠」が選ばれた。ブロック塀や虫を金属でリアルに表現した作品で、原田さんは「金属という素材に魅せられて造形を始めた。鍛金や彫金という工芸でもマイナーな技法を使っているので、その魅力を現代の人たちにも知ってもらえればうれしい」と話した。
同部門準グランプリには加藤立さんの「TODAY」、優秀賞には小林万里子さんの「明日へ変わる」、住田衣里さんの「The other」などが選ばれた。審査員の一人でアーティストの中山ダイスケさんは「今回は手わざの人が多く残り、審査員の間でも『人が作るものって何だろう』ということが語られ、何かと考えさせられる審査になった」と総評した。
受賞作は11月9日まで東京ミッドタウンプラザ地下1階で展示。3日までは一般人気投票を実施し、オーディエンス賞も決定する。