国立新美術館(港区六本木7)で4月27日、画家・ルノワールの全容に迫る展覧会「オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展」が始まった。
同展は、フランスのオルセー美術館とオランジュリー美術館が持つ世界有数のルノワール・コレクションから、初来日となる名作「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」など約80点と、同時代の作家やルノワールに影響を受けた作家の作品約20点を展示するもので、ルノワールの画業の全容を時代やモチーフから明らかにしていく。
展示は肖像画、風景画、子どもたちなどのモチーフによって10章で構成。目玉となる「ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会」は4章の「『現代生活』を描く」に配置され、同時代のエミール・ゾラやカミーユ・コロー、フィンセント・ファン・ゴッホなどが日常の風景を描いた作品やルノワールが「ダンス」を描いた作品などとともに展示。監修を務めたバーンズ財団副館長のシルヴィ・パトリさんは「この作品は歴史的な作品に使われてきた大きな号数の絵を画期的な形で現代生活を描くキャンパスとして使ったもの。同時代の作家の作品も紹介することで当時の時代のことがよりよく分かってもらえると思う」と話す。
肖像画については初期作品中心の2章、子どもたちを描いた6章、身近な人たちをモデルにした9章の3章を割き、職業画家として依頼されて描いていた時代から、身近な人たちを実験的な手法で描いていった時代に至る画風の変化を見て取ることもできる。
同館の南雄介副館長が「パリにいても一緒に見られない作品を並べて見られるのも見どころ」というように、似た構図で裸婦を描いた「横たわる裸婦(ガブリエル)」(オランジュリー美術館)と「大きな裸婦あるいはクッションにもたれる裸婦」(オルセー美術館)を並べて展示するほか、ピカソの作品「白い帽子の女性」(オランジュリー美術館)をそのインスピレーションのもととなったと言われる「コロナ・ロマノあるいはバラを持つ若い女性」(オルセー美術館)と並べて展示するなどしている。
パトリさんは「この展覧会はルノワールの作品をユニークな新しい視点で紹介している。『ルノワールの作品だったら分かっている』とおっしゃるかもしれないが、まだまだ再発見できることがたくさんあることを分かっていただけると思う」とも。
開館時間は10時~18時(金曜は20時まで)。観覧料は、一般=1,600円など(中学生以下無料)。8月22日まで。