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建築家・谷尻誠さんに聞く!-マウンテンジムに込めたメッセージとは

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- まずは、どうして木製ジャングルジムを作ろうと思ったんでしょうか?

この芝生広場は子供連れで来られる方が多いので、おとなと子どもが一緒に遊べるものを作れたらいいなと思いました。それから、ジャングルジムが作りたかったと言うよりは山を作りたかったんですよ。このマウンテンジムは登ると東京タワーも見えますし、ちょっと高いところに上がってこの一体を見下ろせる場所を作りたいなと。芝生広場にいる人と見晴らしの関係ができるのも面白いし。

木製にしたのは、手触りもいいですし、短い期間だからこそできることをやりたいと思ったからです。それから、これは終わったら資材として石巻に送るんですが、物って機能を失った時にごみになる瞬間が来る。イベントというのは短い期間で機能を失ってゴミになるものをたくさん生み出す行為なので、その機能を失ったものがゴミにならずに新しい使われ方を提供することがすごく重要なんじゃないかと思ったんです。

- 谷尻さんは六本木未来会議でもインタビューを受けられてますし、六本木に関わることが多いですが、六本木のイメージはどうですか?

六本木はしっかりとブランディングが出来た街だと思います。僕もよく飲みに来るので夜の街というイメージはありますが、徐々にアートの街というイメージ転換されている感じはありますね、アートナイトなんかもやってますし。

- この作品もアートということを意識してますか?

ある程度のアート性を持つってことは考えながらやってます。でも、アートとか遊具っていうのは呼び方次第だと思うんです。これは山とも言えるし、遊具とも言えるし、中に入ると建築とも言えるし、アートとも言える。みんあカテゴライズして名前を付けたがるんですけど、わかりにくい良さというのを僕は大事にしたいんです。

大人はこれを見て「どう使うんですか?」って聞くんですよね。でも遊具って子どもたちがどう使ってどう遊ぶかを発見するものであるべきだし、アート作品だって「こういうふうに見てください」って説明されたら残念じゃないですか。建築も「どう住みこなそう」とか「どうやって自分の家にしてこう」というのがあるからわくわくして楽しいと思うんです。そういう主体性を見つけるきっかけとしての「もの」を作るのが僕はすごく楽しいんです。それでさらに自分が想像したものを違う人が自分の想像を超えて使ってくれるとすごい嬉しいです。

- いま遊具に関して危険性の問題がいろいろ言われてると思いますが、この作品を作るにあたって安全性についてはどのように考えましたか?

もちろん最大限のケアはしますし、命にかかわるような危なさを作ることはしたくないと思いますが、アレしちゃダメこれしちゃダメの中で育てるとどうしても自由な発想が生まれにくくなるし、子どもって危ないことを少しずつ経験していくことで危険察知能力が育っていくものだと思うんですよ。ガスコンロをなくすと子どもが火の危険を知らなくなるように、時として危なさを経験してもらうことが教育にもなると思うんですよね。

- 夜はライトアップするわけですが、これは六本木の昼と夜の顔の違いみたいのを意識しているんでしょうか?

夜は登れない分、観賞できるようにすることでアート性がアップするじゃないですかとは考えました。六本木の昼と夜ということまでは考えてませんでしたが、言われるとたしかにそうですね。この場所に作るということで自然にそうなったのかもしれません。

夜はよく六本木や麻布界隈に飲みに来るという谷尻さん。六本木を街を知る方だからこそ自然とこの街にピタリとくる「マウンテンジム」を着想出来たのかもしれませんね。デザインタッチの開催は11月3日まで。私も実際登ってみました。一番上まで登るとちょっと怖いですが、ほんとうに東京タワーもよく見えて、芝生広場も見渡せて本当に気持ちのいい空間です。ぜひ登って新しい「六本木らしさ」を体験してみてください!

Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2012
10月26日~11月4日
会場:東京ミッドタウン
東京都港区赤坂9-7-1
Tel:03-3475-3100
URL:http://www.tokyo-midtown.com/jp/designtouch/2012/
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