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エリア特集2012-09-19

元カシオペア櫻井哲夫さんに聞く、六本木ライブハウスの昔と今

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今も六本木にはたくさんのライブハウスがあります。この六本木のライブハウス文化が隆盛を極めたのは1980年代、ジャズやフュージョンを中心に数多くのライブハウスが生まれ、たくさんのアーティストが育ちました。その後、数は減ったものの六本木のライブハウスは未だ観客を引きつけています。その六本木のライブハウスの昔と今を知る元カシオペアのベーシスト櫻井哲夫さんにお話をうかがいました。

隆盛を極めた六本木のライブハウスの中でも「伝説的」といえるのが「六本木ピットイン」。1977年に開店し、同じ頃、日本にフュージョンブームが到来、リー・リトナーやラリー・カールトンのライブの会場となったピットインは日本のフュージョンのメッカとなりました。そして同じ頃、六本木には他にも「バードランド」(1974年~)、「BODY&SOUL」(1976年~)、「サテンドール」(1978年~)、「alfie」(1980年~)など数多くのジャズ・フュージョン系ライブハウスが誕生しました。さらに、オールディーズ系の「ケントス」(1976年~)、シャンソンの「シャンソニエ ピギャール」(1978年~)、ロック系の「BAUHAUS」(1981年~)、R&B系の「Free Soul」(1982年~)など他ジャンルのライブハウスも誕生、80年代六本木はまさに音楽の街となったのです。

90年代以降は移転や閉店を余儀なくされるライブハウスも多く、ピットインも入居するビルの建て替えにより2004年に閉店してしまいます。しかし、1983年にオープンした「ハードロックカフェ東京」に代表される「ライブレストラン」が90年代以降増加、98年には「STB 139(スイートベイジル)」、2007年には「ビルボードライブ東京」が誕生し、六本木のライブ文化を脈々と引き継いでいるのです。

ライブハウス隆盛の80年代に、ピットインでも頻繁にライブを行っていたのが、日本を代表するフュージョンバンド「カシオペア」です。そのメンバーの一人である櫻井哲夫さんが今月、「STB 139(スイートベイジル)」でライブを行います。まさに六本木のライブ文化の昔と今を知る櫻井さんに、六本木のライブ事情についてお話をうかがいました。

- 六本木の街を長く見てきて変わってきたと感じるところはどんなところですか

昔の六本木は高級な大人の街という雰囲気がありました。今と同じように外国人は多かったけれど、今はコンビニやディスカウントショップが増え、歌舞伎町のような盛り場になってきたように感じます。それでも今も六本木ヒルズとかミッドタウンにはよく行きます。そういう意味では街の中心が変わってきてるのかもしれませんね。

- 80年代の六本木のライブハウスの雰囲気とはどのようなものだったんでしょう?

店にもお客さんにも活気がありましたね!カシオペアとして頻繁にピットインなんかに出ていたときは、ジャズフュージョンの全盛期で、ピットインの僕たちのライブを見るために全国各地から来るファンの人達が、一週間前から並ぶなんてこともありました。チックコリアや、ブレッカーブラザース等、海外のトップアーティストも来日したらピットインに出ていました。ジャズやフュージョンが下火になるとともにライブハウスも下火になって行ってしまった気がしますが、ブルーノートやビルボードライブに場所を変えて、今もあの頃ライブをやっていたアーティストたちはこの界隈でライブをやっています。

- やはり六本木という街はミュージシャンにとって特別なんでしょうか?

他のミュージシャンがどう感じてるかはわかりませんが、東京で生まれ育った僕にとっては六本木は居心地のいい街ですね。というのもピットインが出来る前の高校生の頃から、背伸びして六本木のディスコに遊びに来たりしていて、18、19歳の頃はロアビルのそばにあったジャズクラブでアルバイトをしていました。バンドを始めたらピットインでライブをして、遊びの中心であり、仕事の中心でもあったんですよ、仲間もいたし。80年前後の六本木は、本当に素敵な大人の街でしたよ!

- だからやはり六本木でライブを続けていきたいと

今度ライブをやるSTB139は、開店した時にマンスリーで半年間ライブをやらせてもらったりして立ち上げの時から色々なライブで出演しているところで、それもあって東京の活動の中心になっています。今度のライブをやる9月21日は元ウェザーリポートでベーシストのジャコ・パストリアスの命日で、今年が4回目のトリビュートライブなんです。このライブは、やらせてもらえる限りはライフワークとしてやっていきたいと思っています。それと、この間、乃木坂の方にある「オレンジ・レディー」というライブハウスでライブをやって、そこでも居心地の良さを感じました。そういう意味では六本木でライブを続けていく事になると思います。昔の六本木を知ってる人も知らない人もぜひライブを見に来てください。

櫻井さんが感じている「変化」、それは私たちも感じていることかもしれません。30年前、ライブハウスを中心に形作られていた六本木のカルチャーは今は六本木ヒルズやミッドタウンを中心に作られています。櫻井さんを始めとしたかつての六本木で活躍したアーティストたちもその活躍の場を新しい「箱」へと移しています。それは六本木で生まれたライブハウスカルチャーの「成熟」を示しているのではないでしょうか。

同時に、いま六本木には櫻井さんが言及した「オレンジ・レディー」のような新しいライブハウスも生まれています。ネットとライブの融合を目指す「ニコファーレ」もその一つ。「ネット文化」を象徴するようなこのライブハウスと「ピットイン」のような六本木のかつてのライブハウスとは結びつきにくいですが、当時フュージョンは日本人にとって新しいカルチャーでした。そう考えると、六本木のライブハウスは「日本の新しいカルチャーの発信地である」というDNAを実は引き継いでいるのではないか、そんな風にも思えてくるのです。

櫻井さんは9月21日のジャコパストリアス・トリビュート・ライブのあと、11月13日にも同じSTB139でライブを行う予定です。

『櫻井哲夫』“JACO PASTORIUS ~TRIBUTE LIVE~”
【出演】櫻井哲夫(b)、本多俊之(sax)、新澤健一郎(key)、菰口雄矢(g)、平陸(ds) 
【日程】2012/9/21(金)
【場所】STB139
櫻井哲夫「TALKING BASS」 櫻井哲夫さんが今年8月にリリースしたニュー・アルバム「TALKING BASS」。マーカス・ミラーもゲスト参加している。

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