森ビル(港区六本木6)は6月20日、六本木ヒルズ(同)で省エネルギー型の外気冷却システム「ドライミスト」の自動制御運転を開始した。
同システムは、超微細な水滴をノズルから噴霧し、水滴の気化熱で周辺気温を冷却するもの。周辺気温をおよそ2~3度低下させる。経済産業省地域新生コンソーシアム研究開発事業として、名古屋大学、清水建設、能美防災などによって開発され、これまでに2005年開催の「愛・地球博(愛知万博)」で空間冷却・視覚効果として採用実績がある。
六本木ヒルズでの稼動は今年で2度目。昨年夏に実施した効果測定と来訪者を対象としたアンケートでは、約1~3度の気温低下を実現し、来街者の91%が「快適」と回答しているという。今年の設置場所は昨年と同様で、「66プラザ」の一部区画(約30メートル)。地表約3.5メートルの高さに3メートル間隔で9カ所設置し、噴霧面積は約180平方メートル。
噴霧される水滴は16マイクロメートル(1000分の16ミリメートル)と微細で、清潔な水道水を使用する。完全に気化するため、衣類や肌が濡れるなどの不快感はほとんどなく、消費電力量はエアコンの約30分の1ほどで、環境負担が軽いという。
実施期間は10月31日までで、噴霧時間は8時30分~18時30分。同システム導入の理由について同社広報担当者は「来街者の快適さを向上する目的で導入した。66プラザは日比谷線の六本木駅から来街者が上がってくるため、人が多く集中する場所。省エネルギーの観点から、同システムの導入を決めた」と話す。