乃木坂のTOTOギャラリー・間(港区区南青山1、TEL 03-3402-1010)で7月10日、ノルウェーを拠点に活動する若手建築家ユニット「TYIN(ティーン)テーネテュエ・アーキテクツ」による展覧会「TYINテーネテュエ・アーキテクツ Human-Architecture」が始まった。
現場で働く TYIN テーネステュエ・アーキテク ツの2人©Andreas Skeide
アンドレア・G・ゲールセンとヤシャー・ハンスタッドによる同ユニット。2007年、ノルウェー科学技術大学(NTNU)の学生だった2人は、学内コンペで勝ち取った学生組合会館(ルントホール)の入り口ホールの改修プロジェクトを進めるうちに、潤沢な予算を費やしたデザイン重視の建築に対して疑問を感じ、自分たちの可能性を求めてタイに渡った。紛争地域に孤児院を作るプロジェクトを進める中で試行錯誤しながら、地域住民による作業に自らも加わり、地元で調達した材料と工法を使って建築を作り上げるという手法を見いだした。
「建築は地域の人々の暮らしをより良くする資源」と考える2人は、毎回現場でワークショップを行い、時にはノルウェーからNTNUの教員や学生が加わりながら、地元の人々との共同作業によるプロジェクトを実現。地域に根差し、社会的持続性を持った建築を作り上げるスタイルが国際的に高い評価を受け、2012年、グローバル・サスティナブル建築賞を受賞した。
現在は、トロンハイムを拠点に母校NTNUで教鞭(きょうべん)を執りながら、住宅やランドスケープ、インテリアなど活動の幅を広げている。同展では、これらの実践的な建築スタイルから生まれたプロジェクトを、模型、写真、映像で紹介するほか、建築を成り立たせるための不可欠な資源として2人が「Human Toolkit」(TYINによる造語)と呼ぶ、プロジェクトに関わったさまざまな人々とのネットワークにも焦点を当てる。
「同展では私たちの仕事の根幹を成しているもの、つまり私たちがよりどころにしている理念、そして私たちが行き着いた自由で柔軟なプロセスをお見せしたい。原寸大の模型と写真を通じて、初期の『バタフライ・ハウス』からノルウェー国内で手掛けた最新プロジェクトに至るまでの仕事を具体的に紹介する」とコメントを寄せる。
会場では2人のインタビュー映像を通してこれまでの活動・建築思想を紹介するほか、初期のワークショップから共同作業を経て完成までの過程を記録した映像で各プロジェクトのストーリーを紹介する。
開館時間は11時~18時。日曜・月曜・祝日休館(8月9日~18日は夏季休館)。入場無料。