六本木ヒルズ52階の森アーツセンターギャラリー(港区六本木6)で7月11日、建築家ガウディと漫画家の井上雄彦さんのコラボレーション展「ガウディ×井上雄彦 -シンクロする創造の源泉-」が始まった。
同展はガウディの生涯を3つの期間に分け、それぞれスケッチや写真、作品模型、家具などで追うとともに、各章について井上さんが漫画で描いた物語を展示。さらに、井上さんが描くガウディの肖像画やガウディからインスピレーションを受けて描かれた作品などを通して「ガウディの人間像」を描き出そうというもの。ガウディの展示は、学生時代に描いた図面やグエル公園など代表作のスケッチ、カサ・ミラの模型、カサ・バトリョのためにデザインされた家具など約100点。
「SLAM DUNK」「バガボンド」「リアル」などで知られ、海外でも評価の高い井上さんは2011年、「グエル公園」や「サグラダ・ファミリア」などで知られるスペインの建築家ガウディの足跡をたどる旅を行い、書籍とDVDからなる「papita 井上雄彦 meets ガウディ」(日経BP社)を発行した。これをきっかけに同展の企画がスタート、2013年には「2013-2014 日本スペイン交流400周年」の親善大使にも任命され、今年4月には約1カ月間バルセロナに滞在し、「カサ・ミラ」内にアトリエを設け創作活動を行った。
さらに今年5月には、上山製紙所(福井県)で世界最大級の面積となる手すき和紙の制作に挑戦。職人の指導を受けながら高さ3.3メートル、幅10.7メートルの和紙を完成させた。同展ではその和紙に描いた作品も展示する。
井上さんはバルセロナでの滞在について「絵を描く目で見るのでスペイン人の骨格やしゃべる時の相手との距離に目が行き、その距離が非常に近いことが印象に残った」とコメント。また、ガウディとの共通点について聞かれると「おこがましいが、一つは現場に立たないと分からないということではないか。アトリエで描いた絵がこの空間でどう見えるかというのは現場でないと分からないから、そこで変えることになる。ガウディもそういうことをやっていたんじゃないかと感じた」と話す。
開館時間は10時~20時。入館料は一般=1,800円など。9月7日まで。