六本木ヒルズアリーナ(港区六本木6)で3月11日、震災訓練が行われ、森ビル(同)社員やオフィスワーカー、近隣住民など約900人が参加した。
「逃げ込める街」をコンセプトに掲げる同施設ではオープン当初から震災訓練を実施しており、今回が12回目。2012年以降は3月11日に行っている。
同社では「逃げ込める街」を実現するため、普段から災害に対応する社員を決め、繰り返し訓練を実施。近隣住民や帰宅困難者も含めた「街の人々」を守れる体制を整えている。この日の訓練では、その社員が指導員となり、参加者に応急手当や救急搬送、心肺蘇生・AED、消火器などの指導を行った。同時に、震災井戸の説明や非常食の配布なども実施。同社は六本木ヒルズの約10万食を含めて20万食の非常食を用意し、大地震発生時に大量に出るとみられる帰宅困難者を支援する。
訓練には、麻布消防署の一日署長に任命されたテレビ朝日アナウンサーの山本雪乃さんも参加。一般参加者と共に救急搬送や煙体験などに臨み、この日展示されたスーパーアンビュランスなどの説明も受けた。スーパーアンビュランスは8床のベッドを備える特別な救急車で、多くのけが人が出た場所に派遣される。震災訓練後には麻布消防署による消防演習を実施し、倒壊したがれきの下やビルの屋上からけが人を救出する訓練などを行った。
山本さんは「岡山で小学生だったころから繰り返し避難訓練をしてきた。その時、消防隊員の人に『避難するときも思いやりを忘れないことが大事』と言われたのを特に覚えている。今回の訓練では煙体験で全く何も見えず、このような恐怖がいつ襲ってくるか分からないと、あらためて普段から習慣付けておくことが大事だと感じた」と話した。
同署の石井千明所長は「今年は阪神・淡路大震災から20年、東日本大震災から4年になる。地震の発生を防ぐことはできないが、被害を減らすことはわれわれにできる。住民の方々や企業の皆さんと結束を高め、地震等の災害に備えていきたい」と総括した。