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森美術館でベトナム人現代アーティスト「ディン・Q・レ」アジア初個展 

展示の様子

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 六本木ヒルズの森美術館(港区六本木6)で7月25日、ベトナム人アーティスト、ディン・Q・レさんのアジア初となる個展「ディン・Q・レ展 明日への記憶」が始まった。

ベトナム戦争の様子を描いた作品も

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 ディンさんは1968年、ベトナム・ハーティエン生まれ。10歳の時にポル・ポト政権の迫害を逃れ家族で米国に移住、カリフォルニア大学サンタバーバラ校などで美術を学び、現在はベトナム・ホーチミン市を拠点に創作活動を行っている。

 同館で初めての東南アジア出身アーティストの大規模個展となる同展。国際的評価も高いディンさんの作品を新作も含め網羅的に紹介する。南條史生館長は「今年は第二次世界大戦の終戦から70年、ベトナム戦争の終戦から40年という節目の年。ベトナム戦争の記憶を今と結びつけて、それをどう理解し、飲み込もうかという視点の作品が多い。ベトナムの話をしているようだが、日本の今の状況につながってくる作品でもある」と話す。

 同展のキュレーションを務める同館学芸員の荒木夏実さんは展示について、「ストーリーラインにそってキーワードとなる言葉を壁に配して構成した」と説明。代表作の一つとも言える「農民とヘリコプター」では、ベトナム戦争の記録映像と戦争を体験したベトナムの人々へのインタビューを組み合わせた3面の映像とベトナムの人が手作りしたというヘリコプターの実物を組み合わせて展示するほか、「ヘリコプターの戦争」とも言われるベトナム戦争をヘリコプターに注目して振り返る。

 「抹消(まっしょう)」は移民をテーマとした作品で、朽ち果てた舟やスクリーンのある空間に無数の写真が敷き詰めてあり、来場者がその写真の中から気に入った写真一枚を展示室内のボックスに持っていくと、その写真がデジタルアーカイブに加えられるというインタラクティブ作品となっている。

 このほか、同ベトナム戦争などの戦争を再現し演じることを趣味とする日本人へのインタビューなどで構成した新作の映像作品「人生は演じること」、ベトナム戦争の従軍画家の作品とインタビューで構成する「光と信念:ベトナム戦争の日々のスケッチ」なども展示する。

 ディンさんは「アジアの美術館で初めての個展で、やっとアジアというホームに戻ってこれて、アジアで認められる基調な機会を頂いたと思っている。わたしの作品は単にベトナム戦争のことを表現しているのではなく、つらい記憶をどのように選択的に記憶していくか、記憶をどのように処理していくかということをテーマにしている。そのような視点で作品を見てもらえれば」と話す。

 開館時間は10時~22時(火曜=17時まで)。入館料は一般=1,800円ほか。10月12日まで。

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