六本木でILCシンポジウム 先端加速器の日本立地に向け活動周知

講演するリン・エバンス博士

講演するリン・エバンス博士

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 国際文化会館(港区六本木5)で7月27日、先端加速器科学技術推進協議会(新橋2)が「ILC東京イベント2016-100万人に伝えるために-」を開催した。

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 ILC(国際リニアコライダー)は、陽子や陽電子といった粒子を高エネルギーで衝突させる物理実験を行う装置。ヒッグス粒子の発見で有名になった欧州合同原子核研究所(CERN)のLHCが円形なのに対し、ILCは約30キロメートルの直線の装置になる予定。

 ILCは日本への誘致計画が進行中で、現在は北上山地に候補地を絞り、政府や地方自治体、国際機関との交渉を進めている。同イベントは、このILC計画の実現に向けた活動全体の盛り上がりを図るものとして企画。リニアコライダーの国際共同研究を推進するリニアコライダー・コーポレーションでディレクターを務めるリン・エバンス博士、副ディレクターの村山斉カリフォルニア大学バークレー校教授を講師にしたシンポジウムなどを開いた。

 シンポジウムで先に登壇した村山教授は、宇宙の始まりとされるビッグバンを小さな規模で再現するのが加速器の役割で、「ILCが実現すれば宇宙が始まって1兆分の1秒後を見ることができるはず」と説明。宇宙の80%以上を占めるとされる、いわゆる「暗黒物質」の解明にもILCが有効な手段になるはずだと話した。

 LHCの設計、建築の責任者でもあったエバンス博士は、CERNの例から、巨大な加速器の建築が科学以外の分野に及ぼす影響について主に話をした。エバンス博士によれば、「CERNの建設により、地元には建築にかけた費用の約3倍の経済効果があり、日本でも同様の経済効果が予想できる」という。「ヒッグス粒子の発見によりヨーロッパでは若者の理系離れに歯止めがかかり科学や工学を学ぶ学生が増加し、CERNが長く取り組んできた教育プログラムと合わせて、次世代の人材の育成にも大きな効果が上がっている」と話し、「日本がILCをホストすることの価値が分かっていただければ」と締めくくった。

 同協議会では8月24日に岩手県立大学でILC技術セミナーを開くなど、今後もILC計画実現のためのイベントなどを予定。

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