東洋建設株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長執行役員COO:中村 龍由)は、当社のNETIS登録技術である打設杭トータル施工管理システムPile-T(NETIS、HRK-220004-A)を発展させて、実写VR(英:Virtual Reality)空間で杭の位置誘導が行える「Pile T-Real(パイル ティ-リアル)」※ を開発しました。
現行版のPile Tは、3台の自動追尾式トータルステーションの計測情報をもとに3Dモデルで表現した杭の打設状況や既設構造物、地層分布などをパソコン上のVR空間でリアルタイムに表示します。それにより、オペレータが360度の自由視点で位置・高さ・傾斜など杭の打設状況を確認しながら実際の杭を所定位置に誘導できます。今回開発したシステム「Pile T-Real」は、現行版のPile TのVR空間に、360度カメラで撮影した現場のリアルタイム映像を背景として合成した実写VR空間とすることで、実際の映像と杭の打設状況などの3Dモデルを重ねて表示し、杭の誘導を安全かつ効率的に行うことが可能になりました。
本システムの開発により、3Dモデルでは表現が難しい動きのある作業員や、作業の進捗に伴って移設が必要な杭の定規材なども実写VR空間でリアルタイムに確認できるため、実際の視覚に近い感覚で杭の誘導が行えます。また、杭の打設途中でも実写VR空間と現行版のVR空間のスムーズな切替えが可能です。これらにより、現行版の水中や地中など不可視部における3Dモデルによる見える化に加え、作業員の退避状況や打設中の杭と定規材との接触の有無なども確認しながら杭の誘導が行えるため、杭の打設精度だけでなく、作業の安全性や作業効率の向上が図れます。
当社では、これまでにケーソン据付や作業船運航などの様々な作業においてVR技術を用いた施工管理システムの開発を推進してまいりました。今後も建設DXを更に推進し、工事における安全性や生産性の向上を図ってまいります。
※:本技術は特許出願中です(特願2024-220052)
Pile T-Realを用いた杭の誘導状況
Pile T-Real利用中のオペレータのPC画面