財団法人日本産業デザイン振興会(グッドデザイン賞事務局=港区赤坂9)は10月1日、東京ミッドタウン(赤坂9)で記者会見を開き、2007年度グッドデザイン賞の受賞作品を発表した。
同賞は、今年で創設51年目となり、今年度の審査委員長は建築家の内藤廣さん、審査副委員長はインダストリアルデザイナーの奥山清行さんが務めた。審査対象数=2,945件、受賞対象数=1,043件、受賞企業数=594件となった。
全受賞対象の中から、特に優れた15件を選出した「ベスト15」には、「eneloop universe Products」(三洋電機)、小型ビジネスジェット「HondaJet」(本田技研工業)、オフィスチェア「スピーナ」(イトーキ)、ゲーム機「Wii、Wiiリモコン、ヌンチャク、クラシックコントローラ」(任天堂)、新幹線車輛「N700系」(東海旅客鉄道、西日本旅客鉄道ほか)、「東京工業大学緑が丘1号館レトロフィット」(東京工業大学)、携帯電話機「MEDIA SKIN」(KDDI、京セラ)、冷蔵庫「Samsung RSJ1KSSV」(サムスン電子)、GPSレシーバー「Topcon/GR-3」(トプコン、Whipsaw)、乳房X線撮影装置「MAMMOREX Peruru MGU-1000A」(東芝、東芝メディカルシステムズ)、集合住宅「STYIM」(アスコット)、空間整備事業「木野部海岸心と体を癒す海辺の空間整備事業」(サステイナブルコミュニティ総合研究所ほか)、テーマパーク「キッザニア東京」(キッズシティージャパン)、3D仮想空間「セカンドライフ」(Linden Lab)、完全密閉型植物工場システム「産総研型GM植物工場システム」(産業技術総合研究所)が選ばれた。
このほか、「インタラクションデザイン賞」にクリエーティブディレクターの佐藤可士和さんがデザインディレクターを務めた幼稚園「みんなのひろば藤幼稚園」(みんなのひろば藤幼稚園ほか)など、「中小企業庁長官特別賞」に立体包装容器「パットラス」(水戸菜園)などが選ばれ、ユニークな作品も目立った。
日本産業デザイン振興会では今後、ベスト15内から選ばれた「eneloop universe Products」、「HondaJet」、「スピーナ」、「Wii、Wiiリモコン、ヌンチャク、クラシックコントローラ」、「N700系」、「東京工業大学緑が丘1号館レトロフィット」の6候補から、「グッドデザイン大賞」を選出。大賞以外の14件は「グッドデザイン金賞」となる。大賞は今月25日、グランドプリンスホテル赤坂(千代田区)で6候補の担当デザイナーによる公開プレゼンテーションと投票を経て決定。なお今年度からは、グッドデザイン大賞は「内閣総理大臣賞」、他の14件は「経済産業大臣賞」となる。
今年度のデザイン傾向に対し内藤さんは「良い意味で『成熟化』、ネガティブな意味ではやや『おとなしく』なっているように思う。特に日本のデザインの傾向としてはそういうところがあったように思う。(韓国と日本のデザインを比較すると)韓国のデザインは若々しい。それに対して日本のデザインは『大人のデザイン』と感じることができた」と話した。
また、グッドデザインの今後について内藤さんは「その時代にとって何が『グッド』かというのは常に推移するものだと思う。来年になったら違う判断基準や傾向が出てくるかもしれない。デザインというのは時代の空気をどのくらい鋭敏にキャッチできるか、どのくらいの技量で製品化できるかが常に問われる。時代もテクノロジーも動いていく。来年は、よりダイナミックで成熟したデザインが展開されるのではないかと期待している」と話した。
東京ミッドタウン内ミッドタウン・タワー5階の「デザインハブ」(赤坂9)では明日より、今年度グッドデザイン賞の主な受賞作約100点を展示する。会期は2部構成で、前期=10月2日~10月22日、後期=10月26日~11月18日。後期には展示替えを予定。開催時間は11時~19時。入場無料。