サントリー美術館(港区赤坂9、TEL 03-3479-8600)で11月3日から、「歌麿・写楽の仕掛け人 その名は蔦屋重三郎」展が開催される。主催は同美術館、朝日新聞社。
18世紀後半、安永・天明・寛政期の江戸には、浮世絵の喜多川歌麿・東洲斎写楽、戯作の山東京伝、狂歌の大田南畝(なんぽ)などの江戸文化を彩る花形スターが登場するが、そのスターたちの作品を売り出し、江戸文化の最先端を演出・創造したのが版元の「蔦重」こと蔦屋重三郎だった。
江戸吉原のガイドブック「吉原細見」の独占出版、狂歌と浮世絵を合体させた豪華な狂歌絵本の刊行、当時の情勢を風刺した京伝らによる戯作の出版、歌麿の才能を存分に開花させた美人大首絵の発明、謎の絵師・写楽の発見など、次々と流行の最前線をつくり出した蔦重。
確実に部数を稼ぐ出版物を手がけて経営の安定をはかる一方、売れっ子の狂歌師や戯作者の人気に乗じて自分の店の「ブランド化」をもくろみ、版元としての地位を確固たるものとした。
新人発掘にも力を注ぎ、歌麿や写楽をはじめ、葛飾北斎、十返舎一九などを見出した。
同展では、企画から製作・流通・販売までを手がけ、歌麿・写楽の名作を次々と世に送り出した蔦屋重三郎とともに、出版物などを通して「江戸メディア文化」を紹介。関連企画として、講演会やトークライブ、ワークショップなどのプログラムも予定している。
開催時間は、日曜・月曜・祝日=10時~18時、水曜~土曜=10時~20時(11月3日・22日は20時まで)。入場料は、一般=1,300円、大学・高校生=1,000円、中学生以下無料。火曜休館(11月23日は開館、24日休館)。12月19日まで。