シネマート六本木(六本木3、TEL 03-5413-7711)で7月8日から、インディペンデント映画を中心にアジアのセクシュアル・マイノリティーにまつわる映画を集めた「アジアンクィア映画祭」が開催される。
レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーといったセクシュアル・マイノリティーを扱ったアジアのクィア映画を発掘し、世界に発信することを目的として2007年から開催されている同映画祭。今回が3回目。クィア映画の映画祭は世界中で開催されており、日本でも東京レズビアン&ゲイ映画祭が1999年から開催されているが、アジア作品だけに絞ったものは世界でも同映画祭のみ。短編の一部を除いたほぼ全作品が日本初上映となる。
オープニング作品とクロージング作品には、シンガポールの新鋭監督ハン・ユークアン監督によるトランスジェンダー・ミーツ・トランスジェンダーのラブコメディー「海南、潮州と白いブラ」、1987年生まれの中国の新鋭フランソワ・チャン監督による7人の男女の異性愛、同性愛、両性愛、を描いた「花と眉」という対照的な2つの作品が並ぶ。その他の上映作品は、「ドッペルゲンガー/憎悪の化身」などで知られるアヴィ・ネシェルが監督し、ファニー・アルダンも出演している「秘密の祈り」など。
アジアの作品に限定した映画祭を開催する趣旨として「アジアにおけるセクシュアル・マイノリティーは欧米に比べて抑圧が厳しく、いまだに性的嗜好(しこう)を理由に逮捕や死刑となる国もある。アジアという身近な環境で制作されたセクシュアル・マイノリティーの作品を通し、その姿、ライフスタイル、家族や友達、社会との関係のさまざまなあり方を身近に感じてほしい」と、同映画祭代表の入美穂さんは話す。
特にセクシュアル・マイノリティー以外の観客に向けては「異性愛者にとってセクシュアル・マイノリティーの存在は実はすぐそばにあるもの。彼らの多様な生き方に共感したり、そこから新たな発見をしたりできるはず。セクシュアル・マイノリティーも生きる上での幸福を周囲の異性愛者の理解・無理解と切り離すことはできない。映画を楽しむ気持ちに垣根はなく、その映画体験こそが全ての垣根を取り払ってくれるものと信じている」とも。
会期は今月8日~10日と15日~17日。期間中、長編7作品と短編を集めた5つのプログラムを合わせて12のプログラムで上映する。料金は一般1,500円ほか。