森美術館(港区六本木6)で4月26日、六本木ヒルズ・森美術館10周年を記念した「LOVE展:アートにみる愛のかたち」が始まった。
毛利庭園に設置されたジャン=ミシェル・オトニエルさんの作品「Kin no Kokoro」(関連画像)
2003年、開館を記念して「幸福」をテーマに「ハピネス:アートにみる幸福への鍵」を開催した同館。10年を記念する同展では、「幸福」に続く普遍的なテーマとして、古今東西、あらゆるジャンルの芸術家にインスピレーションを与え続けてきた「愛」に注目する。
「愛ってなに?」「恋するふたり」「愛を失うとき」「家族と愛」「広がる愛」と、会場を5つのセクションに分け、時代や地域を超えて選ばれた美術史を彩る名作、意欲的な新作を含む約200点を展示。「キュレター全員で構成したため各人の色が出ている。それぞれの愛の形を楽しんでほしい」と館長の南條史生さん。「『幸福』と比べ、『愛』は形として見えるのでは。60年代はLOVE&PEACEなどとよく使われたメッセージだが、現在、世界中に不穏な空気があり不況がまん延している。災害もあった。そのような中で、もう一度『愛』をポジティブに捉え、多様な広がりを見せる『愛』を通して、あらためて生きる価値を見いだしたい」とも。
出展作家は、ジョン・コンスタブル、ジョン・エヴァレット・ミレイ、フランシス・ピカビア、ジョルジョ・デ・キリコ、ルネ・マグリット、フリーダ・カーロなどの、西洋美術史を彩る名画をはじめ、デヴィッド・ホックニー、デミアン・ハースト、トレイシー・エミン、ソフィ・カル、ジャン・シャオガンなど現代美術界の人気作家や、草間彌生さんの新作インスタレーション、ボーカロイドの初音ミクも登場する。
毛利庭園には、10周年を記念したパブリックアートとして、ジャン=ミシェル・オトニエルさんの彫刻作品「Kin no Kokoro」が設置された。「六本木ヒルズの至るところにパブリックアートを置いているが、日本庭園である毛利庭園には今まで何も置いていなかった。テーマである『LOVE』にふさわしく、外に設置できるもの。強すぎず、品格があり、常に主張し、自然とマッチするものを探し、サイズやシェイプ、アイデアなど、すべてジャンさんに提案してもらった。作品の前で写真を撮るとハートに収まるため、最も人気のあるデートスポットになるのではと期待している」と南條さん。「池を一周しながら見ると、ハートが無限大のマークに見える場所もある。気に入ったところで写真を撮ってみて」とジャンさん。
開催時間は10時~22時(火曜は17時まで)。入館料は、一般=1,500円、学生(高校・大学生)=1,000円、子ども(4歳~中学生)=500円。9月1日まで。