TOTOギャラリー・間(港区南青山1、TEL 03-3402-1010)で10月25日、「ARCHITECTURE FOR DOGS 犬のための建築展」が始まった。
作品はキットとして発売も(トラフ建築設計事務所による「ワンモック」)
「犬の尺度で建築を捉え直すことで新たな建築の可能性を模索する」をコンセプトに、デザイナー・原研哉さんのディレクションのもと開催。10数年温めてきた企画だというが、「犬好きだから、動物好きだからというわけではない。『◯◯のための建築』と考えたときに、建築を哲学として捉えるのではなく、世界中の人がよく知っており、そこそこ興味があるグローバルなテーマとして『犬』が適していると思った。犬ファンと建築ファンが交錯する中で面白いことができるのでは」と話す原さん。
インターネットを通じて世界中に広がりを持たせた仕組みも特徴。2012年11月に公式サイトがオープンし、世界をリードする建築家・デザイナー13組がデザインした「犬のための建築」13作品が、フリーダウンロードできる設計図とともに公開された。公式サイトでは、設計図をもとに自作した「犬のための建築」写真を投稿することができ、インタラクティブな交流の場となっている。同年12月のマイアミ「Design Miami/」、2013年6月のロサンゼルス「ロングビーチ・ミュージアム」を巡回後、満を持しての日本開催となった。
第1会場(3階)と中庭にかけては、「犬のための建築」13作品を展示。シバイヌ・スピッツ・パグといった具体的な犬種を特定してデザインされ、作家の個性がにじみ出た作品の数々が並ぶ。第2会場(4階)では、「人間と犬のスケールを調整する装置」というコンセプトはそのままに、10種類の形態バリエーションに展開した原研哉さんによる「D-TUNNEL」を、実寸大、もしくは縮尺模型として初公開。また、会場では来場者が考える「犬のための建築」を投稿でき、公式サイトで毎日公開されている。「よいアイデアがあればキットとして展開する可能性もある」という。
出展作家は、アトリエ・ワン(ダックスフント)、伊東豊雄さん(シバイヌ)、MVRDV(ビーグル)、隈研吾さん(パグ)、コンスタンチン・グルチッチさん(トイプードル)、妹島和世さん(ビションフリーゼ)、トラフ建築設計事務所(ジャックラッセルテリア)、内藤廣さん(スピッツ)、坂茂さん(パピヨン)、藤本壮介さん(ボストンテリア)、ライザー+ウメモト(チワワ)、原デザイン研究所(ジャパニーズテリア)、原研哉さん(ティーカッププードル)。
「分かりやすく、独創的で、笑いがあることがクリエーションの原点だと思う。変化していく建築を、ぜひ楽しんでもらいたい」と原さん。
開館時間は11時~18時(金曜は19時まで)。日曜・月曜・祝日休館(10月27・28日、11月3・4日は開館)。入場無料。12月21日まで。11月2日はシンポジウムを予定する。