国立美術館(港区六本木7)で7月9日、印象派の作品などフランス・オルセー美術館の収蔵品約80点を展示する「オルセー美術館展 印象派の誕生-描くことの自由-」が始まった。
フランスを代表する美術館の一つであるオルセー美術館は19世紀後半から20世紀初めの美術品を収集・展示する美術館で、モネ、ドガ、ルノワールら印象派の作品を数多く収蔵することでも知られる。同展は、同館の収蔵作品の中から1860年代末~1880年代初頭の作品を中心に選定。「笛を吹く少年」を含むマネ11点、「かささぎ」を含むモネ8点など84点を展示する。
同美術館主任研究員の宮島綾子さんは「印象派という名称は、1870年代後半にある傾向を批評家が後付けで名付けたもので、作家たちが自主的に名乗ったものではない。今回の展示は19世紀後半を一望するような内容で、アカデミズムのような伝統と印象派のような革新が拮抗(きっこう)する中で、これまで考えられなかったような描き方の選択肢が生まれてきた瞬間を捉えようとしている」と話す。
展示は9章からなり、「マネ、新しい絵画」「レアリズムの諸相」「裸体」「印象派の風景」「近代生活」など作家、モチーフ、主義などさまざまな切り口で作品を分類し展示する。モネの「かささぎ」などがある「印象派の風景」は「レアリズムや歴史画を扱った前までの章との違いがはっきりし、印象派の特徴が捉えられるはず」(宮島さん)など、作品の比較からこの時代の絵画の傾向を明らかにする狙いがある。
日本初公開となるモネの「草上の昼食」は縦4メートル、横6メートル余りの大作として描かれたものの、保存状態が悪く後にモネ自身が分断したという作品。「印象派の特徴の一つである、現代生活の一瞬を捉えるということをいち早くやった作品」(宮島さん)だという。
開館時間は10時~18時(金曜は20時まで)。火曜休館。入館料は一般=1,600円など。10月20日まで。