増上寺(港区芝公園4)の本堂地下1階宝物展示室で現在、幕末の絵師・狩野一信による仏画を展示する「狩野一信の五百羅漢図展」が開催されている。
「五百羅漢図」は狩野一信が信仰心と画業の集大成として、2幅に10人ずつ、全100幅に500人の羅漢を描くという構想のもと制作したが、96幅まで描いたところで一信は没し、残り4幅は妻・妙安、弟子・一純らが補作して完成させ、1863年に増上寺に奉納したというもの。 同作品は同寺に秘蔵されてきたが2011年に江戸東京博物館で初めて公開し、2012年にはスミソニアン博物館(米国)でも公開した。
同展は、来年が一信生誕200年に当たることから、昨年オープンした同展示室の2つ目の企画展として開催。全100幅の中から名作とされる40幅を、前期・後期に分け20幅ずつ展示する。現在、森美術館では、同作から現代美術家の村上隆さんが着想し制作した全長100メートルの「五百羅漢図」を展示する「村上隆の五百羅漢図展」も開催中で、互いに関連企画として開催している。
前期は第21幅から第40幅までを展示。この20幅には、六道をめぐり救済を行う羅漢が描かれ、中でも第21幅から第24幅までは地獄を描いたもので、100幅の中でも制作のピークを示す作品ともいわれる。後期は第41幅から第60幅までを展示。この内、第41幅から第50幅までは欲を取り除く修行の場面、第51幅から第60幅は神通力を発揮する場面を描いたもの。
「五百羅漢図」のほかに、一信の子孫から寄贈された資料の中から日記や画稿、最近発見されたという「布袋唐子図」、木造の一信肖像彫刻なども展示する。
開催時間は10時~16時。火曜休館。入場料は一般=700円など。開催期間は、前期=12月27日まで、後期=来年1月1日~3月13日。