乃木坂のTOTOギャラリー・間(港区南青山1)で1月28日、建築家で京都大学教授の岸和郎(きし・わろう)さんの個展「岸和郎:京都に還(かえ)る_home away from home」が始まった。
岸さんは1950(昭和25)年、横浜生まれ。京都大学大学院を卒業後、建築家として活動し、1993年に「日本橋の家」で日本建築家協会新人賞を受賞するなどしている。1981(昭和56)年~93年には京都芸術短期大学(現・京都造形芸術大学)、1993年~2010年には京都工芸繊維大学で教鞭(きょうべん)をとり、2010年から現職。代表作品は「紫野和久傳」(1995年)、「ライカ銀座店」(2006年)、「東京国際空港ターミナル商業ゾーン」(2010年)など。
同展は、岸さんの京都周辺の作品や大学での仕事、最近の活動を模型や写真、図面、映像などで紹介するもの。「大学での仕事」では「京都大学北部グラウンド運動部部室棟」(2014年)を図面や模型で紹介するとともに、実際に学生が使っている様子を収めた映像作品を展示することで、使われている建築の姿を実際に見て感じることができる。中庭の「京都周辺の作品」では、透明なキューブの中で立体に見える「模型」を展示し、さまざまな角度から外観や内部構造などを見ることができる。
「最近の仕事」では「京都市美術館新刊計画案」(2015年)、「House near Yoyogi Park」(2014年)などの模型や図面に加えて、イタリアやフランス、アジアへの「建築への旅」の写真もポジフィルムで展示する。
岸さんは「京都に還る」ことを「物理的に京都に帰還するといったことではない」と説明。さらに「京都という都市に40年以上住みながら、20年以上が経過してようやく『京都』に関わることを決心し、それが『京都に還る』ことだと分かるまでにはさらに20年ほどかかった。今ようやく、この都市に帰還することの意味が分かりかけてきたところ」と話す。
開館時間は11時~18時。入館無料。月曜・祝日休館。3月20日まで。