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エリア特集2014-12-12

西麻布歴40年以上、街のスペシャリスト北山孝雄さんに聞く「六本木という街と、まちづくり」

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北山創造研究所所長の北山孝雄さんは、40年以上前から西麻布に事務所を構え、都市デザインや商品デザインに携わってきた。建築家・安藤忠雄さんの双子の弟で、長らく西麻布や六本木という街を見つめてきた街のスペシャリストに、六本木という街について、そしてまちづくりについて聞いてみました。

-どうして西麻布に事務所を構えることになったんでしょうか。

西麻布に来る前は芋洗坂に事務所があったんですが、マンションの4部屋を借りてやっていて、トイレもお風呂も4つあって合理的じゃないとうことで、探して移転しました。もともとキューバの商務省が借りていたということで、一軒家で駐車場もあって都合が良いということで借りて、それから40年以上います。

-40年の間で、街はどう変わりましたか。

その頃は六本木にもあまり店がなくて、あそこに本屋があって、中華料理屋があって、マイアミがあってアマンドがあってシシリアがあってというように思い出せるくらいしかなかったんですよ。この辺りは完全に住宅街でお店はほとんどなかった、それと比べると店がすごく増えましたね。でも、この辺りは生活している人も多くて非常にカジュアルで居心地がいいです。街というのは生活している人がいて、そこに飲食のお店とかいろいろなものができるもので、作られた街は夜は人の気配が無かったりするけれど、ここは酒屋さんとかお米屋さんとかがあって、いつも人の気配がある安心できる庶民的な街だと思います。

-北山さんは肩書で言うと都市計画のプロフェッショナルということにあると思いますが、具体的にはどのようなお仕事をされているんでしょうか。

「都市計画ではなくて、まちづくり」。自分の生活の中で、「こういうことがいいな」というのを探して、さまざまな場面で提案する、そんな仕事でしょうか。日常生活を豊かにしたいと思ってやっています。みんな欲しいと思うものはやはり似通ってくるからニーズというものは定まってくるんだけれど、いろいろなハードルがあるので、それをどうクリアして実現していくかというのが提案の内容になるのかな。

-日本橋や両国のまちづくりにも携わっているということですが、街にこれがあったらいいなというベーシックなルールのようなものはありますか。

これというルールはないですが、人が集まれるところが少ないとは感じていて、六本木でもミッドタウンに公園ができて、それが非常によく活用されてるように、人が集まれるところというのが日常生活を送っている人が欲しがっているものなんじゃないかという感じはしています。3,40年くらい前まではみんな忙しくて公園に行く人も少なかったけれど、高齢化社会になるに連れて、そういう場所が必然的に必要になってくるんじゃないかと思います。

-六本木エリアで手がけたものはありますか。

大きなものでは、AXISビルと2121ですね。AXISビルはブリジストンの石橋さんがオーナー(註:AXISビルを運営するアクシスは石橋財団理事長の石橋寛さんが会長を務める)で、そもそも土地と建物は活用するけれど利益は上げないという思想で始めたもの。社会貢献が目的なので、最上階のギャラリーも文化的な催しは使用料をとらないでやっていたりします。石橋寛さんは財力もデザインに対する愛情もある、そういう人がいないとなかなかちゃんとした文化的なものはできないんじゃないかと思います。2121は1万坪もの公園を作るということで、そこに何か文化的なものがあったらいいと思って提案して実現したんです。

-ミッドタウンは中にサントリー美術館はあるけれど、外に2121があることで国立新美術館とつながる動線ができた感じがしますね。それも含めてここ10年、六本木がアートやデザインといった「色」を打ち出していることについてはどうお考えですか。

いろいろあって楽しいのはいいと思うけれど、ビジネスラインのアートが多いかなという気はします。昔は逆にその人自体がアートというような奇人変人みたいな人が住んでいて、それはそれで面白かったけれど、本当は両方あったほうがいいと思います。でも、今は花が咲くまで10年も20年も待ってくれないような時代になってしまっているんじゃないでしょうか。

-最近はどのようなお仕事をされていますか。

草津温泉に御座之湯という日帰り浴場を作りました。もともと駐車場だったところに広場とステージも作って、盆踊りもできるし、草津祭りもできるようなスペースになりました。計画が始まったのはリーマン・ショックの時で、もちろん観光客を集めることが目的だったわけですが、結局、住んでいる人も楽しめるものにしないと意味が無いとも思っていました。ステージも作るときも何に使うかあまり考えていなかったんですが、作ったらそこに住んでいる人たちがいろいろな使い道を考えてくれたので、良かったと思います。

-理想は、住んでいる人と遊びに来る人が一緒に楽しむことですよね。最後に、これからのまちづくりについて、ここを考えなさいという物があればおねがいします。

何時間でも座っていられるようなベンチがあるような街がいいと思います。みんながお金を使うというのは不自然で、お金を使わずに過ごせる場所もないといけない。六本木もお金を使わないで座っていられる場所はヒルズやミッドタウンができて、そこに少しできたくらいでしょ。そういうものがずっとあるというのがその街の豊かさだと思います。

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