六本木「STB139 スイートベイジル」、15年の歴史に幕-最多出演は野口五郎さん

企画制作の前田竜輝さん(左)と支配人の鬼頭広樹さん(右)

企画制作の前田竜輝さん(左)と支配人の鬼頭広樹さん(右)

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 六本木のライブハウス「 STB139 スイートベイジル」(港区六本木6、TEL 03-5474-1395)が5月25日の営業を最後に休業する。経営はS&B食品(中央区)。

15年の歴史に幕を閉じる「STB139 スイートベイジル」

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 同社の情報発信地として、YMOとコラボレートした中華料理店「東風(とんぷう)」に次ぐ第2弾として1998年12月、ニューヨークにあるジャズクラブとの業務提携によりスタートした同ライブハウス。半年ほどで業務提携を解消し、日本のアーティスト中心のオリジナル路線での営業となった。ブルーノートやビルボードライブ同様、着席で料理やお酒と一緒に音楽を楽しめるのが特徴で、最大の「売り」は戸建ての建物で250人を収容できる点。自社物件ということで制約も少なく、アーティストからも支持を得、連日盛況であったという。

 休館の理由は、建物および設備について、総合的な安全調査・点検を「徹底的に行う」ため。ただし、再開については現在白紙。支配人の鬼頭広樹さんは、「六本木5丁目西区の再開発がジワジワと始まっており、街が急激に変わろうとしている。STB139だけでなく、芋洗坂周辺がどのように変わっていくか、誰もわからない状態」と話す。同店スタッフも全員解散となり、一旦休館となる。

 オープン当初から働く企画制作の前田竜輝さんは「とにかく全てがいい思い出。以前、フィフス・ディメンションのライブをレイ・チャールズが見にきたことがあった。ミルクを1杯だけ飲んで帰ったのが印象的。レッド・ホット・チリ・ペッパーズのチャド・スミスの公演では、公演後の握手・サイン会に人が殺到し終電まで続いた」と振り返る。

 15年間で全5164公演、約96万人を動員。最多出演は、毎年欠かさずゴールデンウイークに7デイズライブを行ってきた野口五郎さんだという。今月は、同店にゆかりのあるアーティストらが最後のパフォーマンスを行っているが、「これからどこで演(や)ればいいのか」「無くなってもらっては困る」などと惜しむ声が寄せられているという。最終日は日野皓正さんによるスペシャルジャズライブを予定する。

 「六本木には昔からライブハウスが多い。小さいライブハウスの入れ替わりはあるが、衰退しているわけでもなく、現在も活気がある。この街の歴史の1ページに関われたことに感謝している」と前田さん。

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