六本木ヒルズA/Dギャラリー(港区六本木6)で8月20日から、イラストレーター・ヒロ杉山さんの個展「Level of abstraction Hiro Sugiyama」が開催される。
アーティストユニット「ENLIGHTEMENT」としても活躍し、ファインアートの世界で国内外の展覧会で作品を発表する一方、グラフィックデザイン、アートブックの出版、広告、雑誌、CDジャケットなどでも独創的な作品を発表し続けるヒロ杉山さん。PV制作やVJなどの映像分野での評価も高く、近年では立体作品や空間演出なども手掛けるなど、ジャンルにとらわれない幅広い創作活動を展開する。
同展は、2012年より制作している「LEVEL OF ABSTRACTION」シリーズの一環で、具象から抽象への分岐点を追求し、新しい抽象画の概念を探求するもの。版画工房360°GRAPHICSの協力を得て「ネオシルク版画」で制作した大小さまざまな新作23点を展示する。ネオシルク版画とは、顔料インクを用いたジークレー版画(デジタル版画)の上にシルクスクリーンプリントを重ねることで画面に光沢や色彩が加わるという新しいスタイルで、従来のデジタルプリントともシルクスクリーンとも違った質感が生まれる。「色の再現性がきれいなので、色数の多いカラフルな作品を1種あたり20エディション制作した」とヒロ杉山さん。
具象から抽象への分岐点の追求とは、「例えばポートレート作品の上に、さまざまな物を置いていくことで、その人物のアイデンティティが消えていき、誰だかわからなくなる。しかし上に置いているものは、その人物の歴史にまつわるものであり、新しい抽象画となる。抽象度を一つ上げるたびに情報が大きく、薄まっていくのが面白い。一匹の虫が広い視点で見ると昆虫となるように…」と解説。一枚の版画作品を何通りもの視点で楽しめる。
開催時間は12時~20時。入場無料。8月31日まで。20日18時~20時にはオープニングレセプションを予定する。