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森美術館で「村上隆の五百羅漢図展」 全長100メートルの大作日本初公開

「五百羅漢図」の展示の様子 © Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd.  All Rights Reserved.

「五百羅漢図」の展示の様子 © Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.

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 六本木ヒルズの森美術館(港区六本木6)で10月31日、現代美術家の村上隆さんの個展「村上隆の五百羅漢図展」が始まった。主催は同美術館、朝日新聞社など。

4面で全長100メートルの大作

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 村上隆さんはオタクカルチャーやキャラクターを日本の美術史と接続し「スーパーフラット」という概念を発明するなど、国内外で高い評価を受ける現代美術家。2000年からは「スーパーフラット三部作」と称される、渋谷パルコ、ロサンゼルス現代美術館分館などを巡回した「スーパーフラット」展、2002年のパリのカルティエ財団での「ぬりえ」展、2005年のニューヨークのジャパンソサエティーでの「リトルボーイ:爆発する日本のサブカルチャー・アート」展などを開催した。日本での大規模な個展は2001年以来14年ぶりとなる。

 同展は、全長100メートルにもなる日本初公開の大作「五百羅漢図」を中心に、多くの新作を含む約50点を展示する。同作品は東日本大震災を機に制作、青龍、白虎、朱雀、玄武の4面から成る作品で、200人を超えるスタッフとともに短時間で完成させたというもの。震災に一早く支援の手を差し伸べたカタールのドーハで2012年に発表された。「五百羅漢」は釈迦(しゃか)の教えを広めた500人の弟子たちを指す。江戸時代以降多くの彫像や絵画が作られ、狩野一信筆の全100幅の「五百羅漢図」(増上寺蔵)などが有名。

 日本美術史家の辻惟雄さんとの雑誌での連載「ニッポン絵合せ」で、辻さんのエッセーに答えて村上さんが新作を制作するという企画の中で、辻さんが狩野一信の羅漢図を提示したことに村上さんが触発されたのが同作誕生のきっかけ。同展では、連載で辻さんが出した「お題」とそれに答えて制作した村上さんの作品を展示するコーナーも。村上さんは同作について「僕の『五百羅漢図』には祈り的なものが皆無でまさに無というか、何でも入る『箱』みたいな作品になった」と話す。

 展示作品はほかに、2005年から10年以上かけ制作を続けている彫刻作品「宇宙の産声」や、代表的なシリーズ「727」や「たんたん坊」の同展のために手掛けた新作など。

 同展を担当した同美術館キュレーターの三木あき子さんは「今の社会状況を念頭に村上作品を鑑賞すると、今こそ変化しなければならないという意識を持ちながら達成できない鬱屈(うっくつ)した時代の空気や、無常観、解放への希求などを読み取ることも可能かもしれない」と話す。

 開催時間は10時~22時(火曜=17時まで)。入場料は一般=1,600円など。開催期間中、村上さんの監督作品「めめめのくらげ」の上映(11月14日19時~)、村上さんと辻さんによるトークセッション「痛快、日本美術談義」(11月15日14時~)、美術評論家椹木野衣さんによるトーク「大震災、五百羅漢図と村上隆(仮称)」(来年1月10日14時~)などのイベントも開催する。来年3月6日まで。

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