泉ガーデンの泉屋博古館分館(港区六本木1)で2月27日、住友家15代当主住友春翠(友純)のコレクションなどを展示する展覧会「バロン住友の美的生活」第1部「バロン 住友春翠-邸宅美術館の夢」が始まった。
同展は春翠生誕150年を記念して開催する展覧会の第1部で、6月からは第2部として「数寄者 住友春翠-和の美を楽しむ」を開催する。
春翠は1864年、公家の徳大寺家に生まれ、1892(明治25)年に住友家に入り翌年15代住友吉左衛門となり、号を春翠とした。西園寺公望は実兄。春翠は文化振興にも力を入れ、1897(明治30)年には自ら欧米を巡遊し、モネの作品などを購入。その後も画家の鹿子木孟郎の留学を支援し、洋画収集を依頼するなどして絵画などの収集を行った。1903(明治36)年には神戸に本格的な洋館建築の「須磨別邸」を建設、コレクションを展示して私設美術館のようにするとともに、欧米の来賓をもてなす迎賓館としての役割も負った。
同展は、第1部で戦災で消失した同館を記録した資料や写真、資料を基に制作した模型を展示、当時最先端の洋館建築を紹介する。泉屋博古館京都本館学芸員の実方葉子さんは「須磨別邸は、春翠がどのような環境でコレクションを眺めていたのか、春翠の美意識を探る上で重要になる。建物自体が彼の美意識を表すと同時に、広大な敷地には果樹園や温室、社交のための空間があり、西洋の社交スタイルを実現しようとする彼の意図が読み取れる」と話す。
第2部では、須磨別邸に飾られていたと考えられる美術品を展示、モネの作品2点は春翠自ら購入したもので、日本にやって来たたモネの作品として最初期のものと考えられる。ほかに、浅井忠、ジャン・ポール・ローランス、藤島武二などの作品を展示する。
第4部では、世界有数ともいわれる中国青銅器のコレクションを展示。現存する青銅器の太鼓としては世界最大級のものや、虎が人を抱きかかけている様子をかたどった酒器などで、京都本館学芸員の廣川守さんは「現代の技術でも、同じ材料でこの薄さを実現することは不可能だといわれている。当時の中国の技術力の高さを象徴する作品」と話す。青銅器の展示は3月21日までで、3月23日以降は「文人への憧れ」と題し、文人画や陶磁器のコレクションを展示する。
開館時間は10時~17時。月曜休館。入館料は一般800円など。5月8日まで。