東京ミッドタウンのサントリー美術館(港区赤坂9)で6月29日、19世紀のガラス工芸家エミール・ガレの回顧展「オルセー美術館特別協力 生誕170周年 エミール・ガレ」が始まった。
19世紀後半から20世紀初頭にかけて、ヨーロッパ都市部を中心に沸き起こった「アール・ヌーヴォー」を代表する芸術家の一人であるエミール・ガレの生誕170年を記念して行われる同展。国内有数のコレクションを持つ同美術館のコレクションからの約100件に加え、オルセー美術館所蔵の約40件を展示、国内の未発表作品約20件も初公開する。
展示は5章で構成。第1章「ガレと祖国」では、ガレの出身地であるアルザス・ロレーヌ地方の「ロレーヌ紋章」やナンシーの紋章であるアザミをモチーフとして取り入れた作品を紹介。ガレの作風の根底に祖国の伝統と愛着があったことを明らかにする。第2章「ガレと異国」では、1867年のパリ万博などの経験から中国や日本といった外国文化の影響を受けて制作した作品を紹介する。
ガレの作品のモチーフとして最も有名といえる植物に焦点を当てた第3章「ガレと植物学」では、植物学者でもあったガレの作品を「ボタニカルアート」としても成り立つほどの写実性を持つ素描などとともに紹介。第4章「ガレと生物学」では、植物以外にもガレが興味を持った虫や鳥、動物をモチーフとした作品を紹介する。
第5章「ガレと文学」では、1880年代以降制作するようになった、文学者が残した一節を刻んだ作品を紹介。「ガレの究極」と題したエピローグとともに象徴性を増した晩年の作品を展示する。
開催時間は10時~18時(金曜・土曜は20時まで)。火曜休館(8月16日は開館)。観覧料は一般=1,300円など。8月28日まで(会期中展示替えあり)。