森美術館(港区六本木6)は9月27日、森タワー51階六本木ヒルズクラブで開いた記者会見で、館長デヴィッド・エリオット氏の交代を発表した。
館長交代は5年間の任期満了に伴うもので、デヴィッド氏にほかの美術館からの館長就任の要請があったことなどが理由。後任には現在副館長を務める南條史生(なんじょうふみお)氏が就任。デヴィッド氏は今後同館の「インターナショナル・アドバイザリー・コミッティー」の一員として活動するほか、トルコに新しく開館する近現代美術館「イスタンブール・モダン」の初代館長に就任する。
記者会見では、これまでの活動についてデヴィッド氏が「アーティストのプラットフォームを構築することができた」と述べたほか、新館長就任にあたり南條氏が「現在の社会や時代にふさわしい美術館はどのようにあるべきかを考えるところから始めたい」と話した。また、今後六本木地区に開館する国立新美術館(港区六本木7)、サントリー美術館(港区赤坂9)との連携に関する質問に対しては、「定期的に話し合いの機会を設けており、六本木地区のアートマップの作成を行うほか、今後1企画の3館共同実施などを実現したい」と答えた。
森美術館は2003年10月に六本木ヒルズ森タワー53階に開館し、これまでに約20本の展覧会を開催。開館記念展「ハピネス:アートにみる幸福への鍵」では73万人の総入館者数を記録し、1日の平均入場者数=7,860人はこの年の世界記録となった。
南條氏は1949年生まれ、2002年の同館開館準備室より副館長に就任。AICA(国際美術評論家連盟)副会長、CIMAM(国際美術館会議)評議員、慶応義塾大学講師などを務めるほか、今年第1回目の開催となる「シンガポール・ビエンナーレ」でアーティスティック・ディレクターを務めている。