東京ミッドタウンのサントリー美術館(港区赤坂9)で9月11日から、紀元前から現代までの酒器を紹介する「酒器のある情景」展が開催される。主催は同美術館と読売新聞社(中央区)。
同美術館では、ガラス器をコレクションの大きな核の一つとし、毎年ガラスをテーマに企画展を開催、昨年は「フィンランド・デザイン」、一昨年は「ヴェネチアン・グラス」をテーマにガラス器の展示を行った。今回は「これまでのように時代や地域をテーマとするのではなく、どういった場面で作られたのか、それがどのような情景に置かれたのかに着目して分類し、展示することにした」と、展示を担当した同美術館学芸副部長の土田ルリ子さんは話す。
展示は、その器の用途によって分け、第1部は「捧(ささ)ぐ」、第2部は「語らう」、第3部は「誓う」、第4部は「促す」、第5部は「祝い、集い、もてなし、愉(たの)しむ」とした。出展作品は第1部に紀元前14世紀にエジプトで作られ、儀式などに用いられたと考えられる「コアガラス脚付杯」、第3部に秘密結社フリーメーソンが誓いを交わす儀式で用いたとされる「フリーメーソン文ゴブレット」、第4部に神聖ローマ帝国で選帝候をたたえる意図で作られたとされる「神聖ローマ帝国選帝侯文フンペン」など。
土田さんは「ガラスには約4000年の歴史があり、紀元前8世紀ごろから透明なものが作られるようになった。酒器として多く使われるようになるのはこのころからだが、今回は紀元前14世紀から現在まで約3500年にわたる歴史の中から作品を選んだ。見終わったら『さあこれから何を飲もうかな』と思ってもらえるような展覧会になれば」とも。
開催期間中の10月5日・6日にはワークショプも開催。5日はワークショップ「江戸の華 切子体験」、6日は親子ワークショップ「ガラスをカット(切子)してみよう!」。いずれも事前予約制で予約は展覧会ホームページで受け付ける(9月14日・15日締め切り)。
開催時間は10時~18時(金曜・土曜は20時まで)。火曜休館。入館料は、大人=1,300円など。