東京ミッドタウンのサントリー美術館(港区赤坂9)で5月27日、江戸時代の陶工・尾形乾山の作品を展示する展覧会「着想のマエストロ 乾山見参!」が始まった。
尾形乾山は、1663年に京都の呉服商の家に生まれ、文人隠士としての生活を経て野々村仁清に作陶を学ぶ。1699年には窯を開いて本格的に陶工としての活動を開始。京焼の伝統の系譜に連なるものの、琳派風の模様や、中国からヨーロッパにいたる海外産の陶磁器意匠に基づく異国趣味などを取り入れ、独自の作風を築いた。琳派の始祖ともいわれる画家の尾形光琳は兄。
同展では、重要文化財4点を含む尾形乾山の作品に加え、乾山に影響を与えた作品、乾山の系譜に連なる後世の作家による作品など約140点を展示する(一部展示替えあり)。
展示は全6章で構成。第1章は「乾山への道 ― 京焼の源流と17世紀の京都」として、17世紀の焼き物や当時の京都の様子を描いた屏風、野々村仁清の作品などを展示する。
第2章から第5章では尾形乾山の作品を、さまざまな特徴で分類して展示。第3章では、海外陶磁にさまざまな要素を組み合わせて新たな意匠にまとめ上げた「写し」を、第4章では、籠や漆器に着想を得て作られたといわれる「蓋(ふた)物」を紹介する。乾山の「蓋物」の特徴は外側の装飾的な世界と対照をなす内側のモノトーン空間で、ふたを開けて初めて明らかとなる「異世界」によって一つの「宇宙」を つくり出したともいわれる。
第6章では、乾山の後を継いだ養子の猪八の作品や、江戸で乾山を継承した三浦乾也の作品や、井伊直弼写の重要文化財「緒方流陶術秘法書」などを展示する。
開館時間は10時~18時(金曜・土曜、7月19日は20時まで)。火曜休館。入館料は一般=1,300円など。7月20日まで。