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東京タワーでユネスコ世界記憶遺産・山本作兵衛さん原画展-貴重な炭坑記録

貴重な炭坑の記録が並ぶ会場風景

貴重な炭坑の記録が並ぶ会場風景

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 東京タワーで現在、炭坑絵師・山本作兵衛さんの原画展「世界記憶遺産の炭坑絵師 山本作兵衛」が開催されている。主催は読売新聞社(中央区)と東京タワー。

第2章では昭和33年の街並みを再現

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 日本有数の石炭生産地、福岡県の筑豊に生まれ7~8歳で父の仕事を手伝い始めた山本さん。以降約50年にわたり厳しい石炭採掘の現場で働いた。現場を退職した後、60代半ばで自ら経験した炭坑の記憶を、絵と文章を交えた記録絵として描き始めた。1984(昭和59)年、92歳で生涯を閉じるまでに1000点以上を残したが、没後の2011年、絵画作品が「最前線の労働者ならではの生々しく臨場感のある描写で歴史的に重要な時代を記録している」と評価され、日記や雑記帳などと共に国内初の「ユネスコ世界記憶遺産」に登録された。同遺産でてはほかに「マグナ・カルタ」(イギリス)、「アンネの日記」(オランダ)、「ベートーベン交響曲第九番の自筆譜」(ドイツ)などの245件が登録されている。

 世界記憶遺産の登録物件は、外部への出品・展示が厳しく制限されているが、登録後に発見された作品など、秘蔵の原画59点と登録作品の複製画10点を炭坑関係資料と共に紹介する。また、山本さんが絵筆を取った1958(昭和33)年は、東京タワーが開業した年でもあることから、経済大国へと飛躍する転換期となった当時の資料や街角風景と共に展示する。

 炭坑絵には、ふんどしや腰巻一枚という格好で不自然とも思える体勢で作業をする人々が実際の経験に基づいた真に迫る描写で描かれているが、山本さんは、「自分の作品には一つだけ嘘がある」と、実際には坑内は真っ暗ではっきり見えないということを語っていたという。戦争で失った長男を思い、「孫たちにヤマ(炭坑)の生活やヤマの作業や人情を書き残しておこうと思った」のが、炭坑絵を始めた動機とも。カメラが登場した昭和の炭坑はほとんど描かれていない。

 開館時間は10時~18時。入場料は、一般=1,200円、小・中・高校生=600円。5月6日まで。

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