泉ガーデンの泉屋博古館分館(港区六本木1)で5月30日、モネ、シャガールなどの近代フランス絵画を展示する展覧会「フランス絵画の贈り物 とっておいた名画」が始まった。
同美術館は住友グループの創設者である住友家のコレクションを収蔵・展示する泉屋博古館(京都市)の分館。同館では一昨年から住友グループ各社が収集した絵画作品を紹介する企画展を全3回で企画、1回目は「花」、2回目は「パリに留学した日本人画家たちの逸品」をテーマに開催し、同展が3回目。
同グループのフランス近代絵画のコレクションは、住友家第15代当主の住友春翠が1890年代にヨーロッパに渡った際に買い求めたものが始まりと考えられ、その後、住友家の支援を受けてヨーロッパで学んだ画家たちにも購入を依頼した。春翠はパリでモネの作品2点を購入、同作品は日本に渡ったモネの作品としては最初期のものと考えられる。
同館の野地耕一郎館長は「春翠は須磨の別邸にヨーロッパで購入した作品などさまざまな作品を飾り、邸宅美術館のように一部の画家に見せ、日本における西洋絵画の流れにも影響を与えた。その19世紀から20世紀にかけての日本における西洋絵画の流れを線としてつなげてみようというのが展覧会の主旨」と話す。
展示する主な作品は、春翠が買い求めたというモネの「サン=シメオン農場の道」「モンソー公園」や、「一般にはおそらく初公開」(野地さん)というジョルジュ・ルオーの「一家の母」、パブロ・ピカソの新古典時代の作品「泉」、マルク・シャガールの「山羊のいる自画像」など43点。あわせて作者が不詳あるいは有名ではないものの、「意外といい」という作品を集めた「住友コレクションの無印良画」5点も展示する。
開館時間は10時~17時。月曜休館。入館料は一般=800円など。8月2日まで。7月7日の閉館後には、チェリストの茂木新緑さんによる「七夕コンサート」を、同11日には千足伸行成城大学名誉教授によるギャラリートーク(15時~)を開催する。