東京ミッドタウン(港区赤坂9)で、「Salone in Roppongi(サローネ・イン・ロッポンギ)」が開催されている。
「Salone in Roppongi(サローネ・イン・ロッポンギ)」は、今年4回目を迎えるデザインイベント。世界中で活躍するデザイナー、建築家をフィーチャリング・アーティストに迎えて行なわれている。
今年は建築家の長坂常氏が、今回のテーマである現在誘致活動中の「国際リニアコライダー」(ILC)をモチーフに難解な物理学の世界をデザインの力で読み解き、より多くの来場者に知ってもらうことに挑戦した。
建設計画では全長31キロメートルに及ぶ実験施設を1/2000のスケールで表現し、15メートルを超える巨大ジオラマ模型が会場に出現。「版築」という日本古来の建築技法で、ひたすら土を突き固めるという人力工法で作りあげ、延べ200人でわずか3日間で作りあげたそうだ。
「世界中の研究者たちが日本での建設を期待しているのが国際リニアコライダー。従来の円形からさらに進化したリニア、すなわち直線での実験施設の建設を可能にするのは日本の高い技術力だからこそ。21世紀、オリンピックの後にはこのILCで日本は科学で世界に貢献することができる」と、今回監修を行う東京大学の山下特任教授は語る。
また、「Salone in Roppongi(サローネ・イン・ロッポンギ)」代表の笹生八穂子氏は、「国際リニアコライダーが完成すれば、アジアで初めての国際研究都市となり、世界中から研究者が集まって、国籍、言語、宗教すべてを超えて一つのテーブルで共に研究をする『国際平和』の場になる。世界中の研究者たちが日本に建設されることを望んでいるということをデザインの力で知っていただくことで、日本のデザイン力が発揮されると思い企画した」と話す。
11月3日にはスイス・ジュネーブにある世界最大の素粒子研究施設CERNから、ヒッグス粒子の発見などから2つのノーベル賞につながる加速器を設計したリニアコライダー・コラボレーション、デイレクターのリン・エバンス博士も来日。「日本でたくさんの一般の人たちに、こうしてILCを知ってもらえる機会ができたことをとても喜んでいる。特に子供たちが興味く楽しげに見てくれることが何よりも未来を感じる」と語った。
同展示は好評につき、来年巡回展の計画もされている。
時間は11時~21時。11月6日まで。