文化庁の「新進芸術家海外研修制度」で海外派遣された若手芸術家の成果を発表する企画展「21st DOMANI・明日展」が現在、国立新美術館(港区六本木7)で開催されている。
蓮沼 昌宏《豊島》2018 Photo:椎木静寧 ※参考作品
若手芸術家を海外に派遣し、その専門とする分野の研修を支援する同制度は、1967(昭和○)年度以来、約3500人を派遣してきた。美術、音楽、舞踊、演劇、映画、舞台美術等、メディア芸術の各分野を対象に1年、2年、3年、特別(80日間)、短期(20日~40日)、および高校生(350日)の6種類があり、研修員は海外の大学や芸術団体で実践的な研修を行っている。
今年は「平成の終わりに」をサブタイトルに、昭和50年代に生まれ、平成時代に表現者を目指した作家9人と、ゲスト作家としてイタリア・フィレンツェでの滞在制作経験を持つ三瀬夏之介さんの作品を展示する。
現代美術の加藤翼さんは1984(昭和59)年生まれで、2015年にアメリカ・シアトルに派遣。パブリックな場所に寝かせた巨大な建造物を、ロープを使って大勢で引っ張り上げる「引き倒し」あるいは「引き興し」と呼ばれる参加型のアートプロジェクトを行う。同じく現代美術の蓮沼昌宏さんは1981(昭和56)年生まれで、2016年にドイツ・フランクフルトに派遣。19世紀後半に考案された、パラパラ漫画(フリップ・ブック)の原理で絵が動く装置「キノーラ」によるアニメーションを中心に、写真、絵画を制作している。
他の出展作家は、写真・現代美術の川久保ジョイさん、メディアアートの木村悟之さん、現代美術の志村信裕さん、現代美術の白木麻子さん、インスタレーション・建築の松原慈さん、絵画の村山悟郎さん、陶芸の和田的さん。
広報担当者は「研修を終えて比較的時間の浅いフレッシュな作家たちのショーケースとなるよう、作家のラインアップを組んだ。文化庁による新進作家育成プログラムで海外に送り出した人材を、日本のアートシーンにプレゼンする機会になれば」と話す。
開催時間は10時~18時(金曜・土曜は20時まで)。火曜休館。観覧料は一般=1,000円、大学生=500円。3月3日まで。