![セザンヌの父が購入した別荘の広間を再現し、作品「四季」を展示(セザンヌ展会場風景)](https://images.keizai.biz/roppongi_keizai/headline/1332989731_photo.jpg)
国立新美術館(港区六本木7)で3月28日、開館5周年企画の一つ「セザンヌ-パリとプロヴァンス」展が始まった。
「近代絵画の父」と称されるポール・セザンヌ(1839-1906)の画業を、パリとプロバンスという2つの場所に注目し振り返る同展。監修は、セザンヌ研究の世界的な第一人者であるドニ・クターニュさん。オルセー美術館、パリ市立プティ・パレ美術館をはじめ、世界8カ国、約40館から油彩、水彩、デッサンなど合計約90点を集め、国内過去最大規模の展示となる。
南仏のエクス=アン=プロヴァンス(以下「エクス」)に生まれたセザンヌは、1860年初めに画家としての成功を夢見てパリに出る。印象派の明るい色彩に感化される一方、形態と空間の表現に創意を凝らし、全く新しい絵画のスタイルを確立したが、1880年代以降はパリに背を向け、1906年に亡くなるまでを故郷エクスでの制作に費やした。このことから「孤高の画家」と見なされてきたが、実際にはパリとプロバンス間を20回以上も行き来し、その移動が創作活動に決定的な役割を果たしたと考えられている。同展ではこの南北間の頻繁な移動に焦点を当て、セザンヌの芸術的創造の軌跡を捉える。
「世界8カ国から作品を借りてきたが、普通はセザンヌの作品を借りることは難しい。日本の皆さんは友達だということがわかったので実現した。年代順に展示したのでセザンヌの軌跡がよくわかると思う」とクターニュさん。会場には、セザンヌの父が購入した別荘の広間を再現し、画業の出発点となった大作「四季」4点を展示するほか、晩年の制作拠点だったレ・ローヴのアトリエの一部を再現。ほとんどアトリエから持ち出されたことのないセザンヌの創作の糧だったオブジェ22点などを展示する。
会期中、パリ市立プティ・パレ美術館学芸員のマリリン・アサント・ディ・パンツィッロさんによる解説会や、監修者ドニ・クターニュさん(フランス国家文化財主任研究官)、ポール・セザンヌ協会会長でセザンヌのひ孫に当たるフィリップ・セザンヌさん、画家の山口晃さんの記念講演会を予定(無料。本展観覧券が必要。半券可)。スケジュールはホームページで確認できる。
開館時間は10時~18時(金曜は20時まで)。火曜休館(5月1日は休館)。料金は、一般=1,500円、大学生=1,200円、高校生=800円、中学生以下無料。6月11日まで。