東京ミッドタウンのサントリー美術館(港区赤坂9)で現在、日本化薬元会長の原安三郎が収集した歌川広重などの浮世絵を展示する「原安三郎コレクション 広重ビビット」が開催されている。
同展は歌川広重の晩年の名作「名所江戸百景」と「六十余州名所図会」を中心に、葛飾北斎や歌川国芳などの風景版画を紹介する展覧会で、原の没後に発見されたコレクションの中から約230点を展示する。
展示は4章で構成。第1章では、全国各地の名所を描いた「六十余州名所図会」の全70図を展示。同コレクションの作品は、最初にすった「初摺(しょずり)」の中でも初期のもので、広重自身と摺師(すりし)が一体となって色彩や摺りを検討しながら進めていた段階のものといわれる。初摺の作品は広重の意思が直接反映されているのに加え、版木の線も摩耗せずにシャープで鮮やかな作品になっている。同コレクションの「六十余州名所図会」は今回が初公開。
第2章では、「名所江戸百景」の全120図を前後期に分けて全作品展示。同作も初摺で、「布目摺り」や「あてなしぼかし」といった高度な技術が多用されているのも見て取ることができる。第1章、第2章では、作品と現在の写真を比較できる趣向も。
第3章では、葛飾北斎の「千絵の海」全10作品、第4章では広重の「東海道五十三次之内」や北斎の「富嶽三十六景」、国芳の「東京名所」などの中から名品を30図展示する。
開催時間は10時~18時(金曜・土曜は20時まで)。火曜休館。観覧料は一般=1,300円など。6月12日まで(会期中展示替えあり)。