六本木ヒルズアリーナ(港区六本木6)で3月11日、震災訓練が行われ、森ビル(同)社員やオフィスワーカー、近隣住民など約900人が参加した。
「逃げ出す街から逃げ込める街へ」をコンセプトに掲げる同施設ではオープン当初から震災訓練を実施しており、今回が13回目。2012年以降は3月11日に行っている。
同社では「逃げ込める街」を実現するため、普段から災害に対応する社員を決め、繰り返し訓練を実施してきた。東日本大震災以降は、テナント向けの宿泊訓練や帰宅困難者の受け入れ訓練、備蓄品の拡充・多様化、防災用自転車の導入、情報配信システムの構築など新たな取り組みも行ってきた。
震災訓練は、同社の社員が主体となって、テナント入居者や近隣住民、帰宅困難者も含めた「街の人々」を守れる体制を確認するもの。この日の訓練では、社員が指導員となり、参加者に応急手当や救急搬送、心肺蘇生・AED、消火器などの指導を行ったほか、起震車体験や非常食の配布なども実施。約10万食を備える備蓄食料の「入れ替え」も行っていく。
起震車で震度7の揺れを体験した参加者は「震災に対する意識はだんだんと弱まってしまっているが、こういう訓練があるとあらためて意識できる。震度7の揺れを体験してみて、ちゃんと訓練をしないと生き残れないかもしれないと危機感を覚えた」と話した。
同社の森浩生副社長は「東日本大震災から5年の間に豪雨被害などさまざまな災害が起きた。巨大地震が起きる可能性も高いといわれているので、まず自分を助ける自助、そして周りを助ける共助の考えに基づいて、災害に対応する方法を学んでもらいたい」と話した。