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麻布十番の劇場「アトリエフォンテーヌ」、35年の歴史に幕

ミュージカル「怪傑アンパンマン」(1976年)の一幕

ミュージカル「怪傑アンパンマン」(1976年)の一幕

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 麻布十番の劇場「アトリエフォンテーヌ」(港区六本木5)が6月30日、建物の老朽化のため閉館する。経営・運営はオールスタッフ(同)。

最終公演「歌のことづて」のワンシーン(関連画像)

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 1962(昭和37)年に、作曲家の故・いずみたくさんが、音楽と舞台制作のスタッフ集団として設立した同社。109人動員可能の同劇場は、いずみさんが1977(昭和52)年に立ち上げたミュージカル劇団「フォーリーズ」(現イッツフォーリーズ)の本拠地としての公演や、貸し劇場として35年の歴史を刻んできた。

 同劇場のこけら落としとなった黒柳徹子さんと島田祐子さんによる二人ミュージカル「二重唱」は7カ月のロングランを記録。劇中歌となった曲は、今でも「徹子の部屋」(テレビ朝日)のテーマ曲として使われ、本来は歌詞もある。漫画家・やなせたかしさん原作の「アンパンマン」は、テレビアニメとして大ヒットする10年以上も前に「怪傑アンパンマン」(1976年)としてミュージカル化され、「今では考えられないくらい残虐なシーンで子どもたちが大泣きし、最初は誰も来なかった」(同社の土屋有紀子さん)という。坂本九さんが歌ってヒットした「見上げてごらん夜の星を」も、元はミュージカルの劇中歌で、今年1月にリバイバル公演されている。

 「イッツフォーリーズ」公演としての代表作は、「洪水の前」(1980年)、「歌麿」(1985年)、「見はてぬ夢」(1990年)、「天切り松 人情闇がたり」(1994年)など。いずれも同劇場公演の後、全国公演を行い、「歌麿」は全米公演も行っている。

 貸し劇場としては、東京キッドブラザースが最初に利用したほか、SET時代の岸谷五朗さんと寺脇康文さんの公演、三谷幸喜さん率いる東京サンシャインボーイズの公演なども。1970年代にはテナントとしてジャニーズ事務所が入居、公演も行ったという。

 「(いずみさんは)六本木・麻布界わいが好きで自らも住んでいたので、この地に念願の劇場を建てた。最近は麻布十番納涼まつりの運営に携わるなど、地元とのつながりがしっかり築けてきたところだったので残念」と土屋さん。7月1日には台東区に引っ越し、劇場運営を除いた活動を続けるという。

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