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チェコ出身、カテジナ・シェダーさん作品展-森美術館で若手応援企画

新作「光がない」(2010年~)の制作風景 
(刺繍された布、プリント、テーブル、インスタレーション)
Photo: Michal Hladik

新作「光がない」(2010年~)の制作風景 (刺繍された布、プリント、テーブル、インスタレーション) Photo: Michal Hladik

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 森美術館(港区六本木6、TEL 03-5777-8600)で11月27日から、若手アーティスト応援する企画展「MAMプロジェクト013:カテジナ・シェダー」が開催される。

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 同展に出展するカテジナ・シェダーさんは、近年欧米で注目を集めるチェコ共和国出身のアーティストで日本での個展は今回が初。
 生活の中の小さな問題点などに着目してユニークなゲームを提案し、自身の家族や小さな村の住民などが参加するコミュニティー・プロジェクトを行ってきた。

 今回展示するのは、新プロジェクト「光がない」(2010年~)。これは、ヒュンダイ社がチェコ東部のノショヴィツェ村に自動車工場を建設したことに端を発した作品。
 村の誘致により工場建設が決まるが、土地所有者の中には土地の売却を拒否する人もいた。補償金を巡って住民が分裂するなどあったが、最終的に工場は2009年に完成。一部の住民たちは村を離れ、残った人々もコミュニケーションを持たなくなり、さらに工場建設は自然破壊をもたらしたという。

 会場では、さまざまな大きさの円形のテーブルにドーナツ状の布をテーブルクロスのようにかけたものを展示。布には、「村の住人が工場の敷地から見えるであろう周囲の景色」を想像したドローイングを描き、テーブルの裏には制作の過程が分かるようにドローイングや写真などを張り出す。
 この展示方法で「ヒュンダイ側もノショヴィツェ村の権力者たちも、なぜこの地での工場建設が許されたのかを語りたがらない」ことを表現した。これは、チェコ語で口に出さないことを「テーブルの下で説明を一掃する」とする表現があることに由来するという。

 同展での発表は同プロジェクトの第1段階で、次の段階では作品を通して双方の対話を作り出すことを目指すという。

 同館アソシエイト・キュレーターの近藤健一さんは「一見、テーブルクロスが掛かった円形テーブルが並んでいるだけだが、その裏側にある制作するまでの過程を見て、シェダーさんのユニークなアイデアとユーモラスで温かみのある世界をお楽しみいただければ」と話す。

 開催時間は10時~22時(火曜は17時まで)。入場料は、一般=1,500円、学生=1,000円、子ども=500円。来年2月27日まで。

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