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六本木「仙石山森タワー」、生物多様性の取り組み認証で最高ランク

住人やワーカーの憩いの場となる「こげらの庭」

住人やワーカーの憩いの場となる「こげらの庭」

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 今年8月に施工した「アークヒルズ 仙石山森タワー」(港区六本木1)が、生物多様性の保全や回復に資する取り組みを定量評価する「JHEP認証」(施工時)で日本初となる最高ランク「AAA」を取得した。

現在「紅葉」が楽しめる「こげらの庭」

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 神谷町駅および六本木一丁目駅至近に位置する約2ヘクタールの再開発事業。「ヴァーティカル・ガーデン・シティ(立体緑園都市)」をコンセプトに、安全で住み心地のいい街を目指した計画的な街づくりが進む。延べ床面積約14万3550平方メートルの同施設はオフィス・レジデンス・店舗から成り、「生物多様性」の戦略に基づき2009年に着工した。

 「JHEP認証」とは、1970年に米国内務省が開発した生物多様性の価値を定量的に評価する「HEP(Habitat Evaluation Procedures=ハビタット評価手続き」の日本版として、(公財)日本生態系協会が2008年12月に創設。植生と動物の観点から、生物多様性の価値を定量的に評価し、本当に優れた取り組みだけを認証する。

 実際の取り組みとしては、生態系のあり方を検討した上で緑の計画を行い、小鳥や昆虫などの生き物と共存する方法を画策。移入種を排除し、この地域の在来種であるコナラやスダジイ、シイノキなどの樹木を「自然の状態」に近い形で植栽。高低差のある木々をランダムに配置することで生き物のすみ分けを手助けする。

 敷地内に設けられた「こげらの庭」では日本古来の野草や草花を植栽。小鳥のすみかとなる枯れ木も保存し、コゲラやツグミ、シジュウカラなど、小鳥が集まる庭を目指し、住人・ワーカーのコミュニティー形成・育成の手助けを行う。

 森ビル設計統括部顧問の山口博喜さんは「10年、50年先にどんな森にしたいのか問題意識を持っていた。外来種を使いすぎる人工の森は健康ではないのでは。都市災害への対策、都市回帰といわれる住人たちのニーズなどを踏まえ、総合的に取り組む必要がある」と話す。

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