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泉屋博古館分館で「小川千甕」初の回顧展-日本画、洋画、図案など150点

会場の様子

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 泉ガーデンの泉屋博古館分館(港区六本木1)で3月7日、明治から昭和にかけて日本画家、洋画家、漫画家などとして活躍した小川千甕の回顧展「小川千甕 縦横無尽に生きる」が始まった。

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  小川千甕は1882(明治15)年、京都の書肆(しょし)に生まれ、15歳で仏画師の徒弟となる。20歳の時、洋画家の浅井忠に入門。洋画を学びながら日本画も発表し続け、24歳からは雑誌「ホトトギス」の挿絵なども手掛けるようになる。28歳で東京に移り、「ホトトギス」「太陽」などに挿絵、マンガを発表し人気を得る。昭和に入ると、自由な筆致で表現できる日本画である「南画」を追求し、多くの作品を発表。戦後にかけて文人への憧れから「詩書画」を多く手掛けるようになる。1971(昭和46)年没。

 同展は、昨年10月から11月に福島県立美術館で開催された展覧会の巡回展で、今年12月からは京都府京都文化博物館でも開催予定。同館学芸課長の野地耕一郎さんは「梅原龍三郎ら同門の洋画家が脚光を浴びる中で脇に置かれた存在だったが、ここ10年くらいで再評価が進んだ。今まで取り上げられたことはあまりなく、非常に貴重な機会」と話す。

 展示は6章に分けられる。第1章では近年発見されたという修業時代の仏画やデッサン、第2章では浅井忠門下での修業時代の図案や日本画を展示。第3章では、ヨーロッパ滞在時に残したスケッチや水彩画、油彩画、帰国後に描いた日本画と洋画を折衷したような作品などを展示。1920(大正9)年の作品「押絵貼風俗図屏風(びょうぶ)」は、「乗合自動車女車掌」「三越食堂女ボーイ」「満員電車」などの当時の風俗をコミカルに描いた絵16枚を屏風に仕立てている。

 第4章では、1921(大正10)年の「釣人」など、千甕自身が「土佐絵と洋画のチャンポン」と呼ぶ作品を中心に展示、第5章では独特のスタイルを確立した南画を中心に、第6章では晩年の詩書画などを展示する。

 開館時間は10時~17時。月曜休館。入館料は一般=800円など。5月10日まで。4月7日から一部展示替え。

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