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編集長のミラノサローネレポート-「Salone in Roppongi」に向けて vol.1 CITIZEN

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2014年4月8日

今回で53回目となるミラノサローネは世界中からの来場者を集めて開幕。ローフィエラと呼ばれる郊外の本会場、フォーリサローネと呼ばれる市内に広がる様々な場所でにぎやかにスタートした。

日本からは昨年に引き続き、Panasonic、LEXUSの企業展示、マルニ木工、カリモクニュースタンダードなどの家具プロダクト、7年ぶりの開催となるTOKYO DESIGNER WEEK主催の「TOKYO IMAGE」などが登場。2年に一度のキッチン特集の年の当たるため、キッチンメーカーなど数社の企業、デザイナー、団体等が「デザインスタイル」をキーワードに発表を行っている。

イタリア初のデザイン美術館といわれるトリエンナーレ美術館を会場にし、開催前から注目を集めているのが、今回初出展となるCITIZENだ。デザインはCITIZENデザインチームとパリを拠点に活動をする建築家田根剛さん(DGT)。「LIGHT is TIME」は「光は時間であり、時間は光である」をコンセプトとした展示で、会場に入ると天から降り注ぐ光の粒が輝くインスタレーションが目の前に広がる。絶対的な美しさに息をのみ、一瞬のうちに魅了される。その光を創りだすのは、4千本の糸でつり下げられた、時計のベースである「地板」8万個。その姿は美しく、時空を超えるようにさえ思える。「光なくしては時間を計れない」という基本に立ち、時を生み出す時計のすべてのパーツを支える「地板」に焦点を当てることで、デザインの基ともいえる「物の形には意味がある」ということが素直に表現され、見る者の心に「時計の美しさ」が届く作品となった。会場内にはその他にも時計を作り出す精密な部品や、最新の電波時計などCITIZENのプロダクトも見る事ができる。

「世界でも4社しかないといわれる、すべてのパーツを生み出すことのできる時計メーカーのひとつがCITIZEN。こだわり続ける伝統的な職人的力とソーラーパネルや電波時計など最新の技術を持って作り出す、もの作りの精神やデザイン力を表現したかった」と田根さんは語る。

初日にはタップダンサーの熊谷和徳さんがこの光の空間の中で見事なパフォーマンスを披露。フォーリサローネの話題をさらった。初日午後には来場者が列をなす人気ぶりとなり、トリエンナーレ美術館館長が「トリエンナーレ美術館で行われたすべてのインスタレーションの中で、最も美しい作品」と語った。手のひらに乗る小さなプロダクトの世界が見事に大きく表現され、今年最も見逃せない作品となっている。

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