住友不動産（新宿区）は、旧日本IBM本社ビル・旧六本木プリンスホテル跡地を含めた六本木3丁目地内に、同社が参画する「六本木三丁目東地区第一種市街地再開発事業」の本体工事にこのほど着手した。

　東京メトロ南北線「六本木一丁目」駅に隣接した約2.7ヘクタールの広大な区域に、高さ約249メートルの業務棟（40階）、住宅棟（27階）、商業棟（3階）の3つの施設で構成する大規模複合開発で、延べ床面積約20平方メートル（約6万坪）の規模で展開。隣接する「泉ガーデン」と並ぶ同社最大級のフラッグシッププロジェクトに位置付ける。

　「六本木一丁目」駅の東側は、「泉ガーデン」や「アークヒルズ」などの市街地整備がすでに行われた一方、同事業の施行区域となる西側は、高低差の著しい立地特性に加え、老朽化したビルなど、さまざまな建物が混在しており、駅前という立地条件に見合った土地の有効利用がされていなかった。同事業で、「泉ガーデン」との街並みの連続性・調和を図りつつ、高低差のある地形的な特徴を生かして施行区域を南北2つの街区に分け、駅前拠点にふさわしい業務・商業・住宅など多様な機能・用途を整備する。

　主な特徴は、業務棟・住宅棟を免震構造とするほか、基準階貸室面積約1000坪のオフィスは室内に柱型がない整形無柱空間を実現、無停電対応などのBCP対策を強化した。歩行者の利便性向上のため、「六本木一丁目」駅西口改札を新設し、六本木通りと駅を結ぶ地下連絡通路や地下鉄駅前広場を整備。通路内には約750平方メートルの地下鉄駅前広場と、約530平方メートルの地下鉄連絡広場を設けるとともに、商業店舗を配し賑（にぎ）わいを創出する。合わせてバリアフリー化を図るため、複数のエレベーターを設置する。

　南街区には、通常は憩いの場となる緑豊かな約1400平方メートルの広場1号を設け、災害用仮設トイレスペースと防災用井戸を設置。地下鉄駅前広場とともに、災害時には一時避難場所として活用することができる。北街区の建物屋上にも広さ約1000平方メートルの広場2号を設けるほか、敷地内に散策路を整備するなど、防災対策と平行して緑化の推進に努める。敷地外周部の区道はそれぞれを拡幅整備。右折レーンを新設し、渋滞の緩和を図るほか、電線の地中化や、幅員4メートルの歩道状空地を整備するなど、景観への配慮と合わせ、歩行者に優しいまちづくりを進める。

　2016年3月の完成を予定する。